涜書:馬場&出口:書評「ニクラス・ルーマン『社会の科学』」

両巨頭による isbn:4588009273isbn:4588009281 の書評を通勤の友に。

合評会まで一週間をきりましたよ。 お申し込みは 大急ぎで:id:contractio:20110807


出口せんせい、ルーマンのシステム論には内部イメージがないって いうけど、これは(ルーマンに不利な意味で)違うよね。だって「環境構想」って内部イメージだもんなぁ。むしろ問題は、ルーマン自身が自分で「やる」と言っているのにやってないことのほう。つまり、

  • モデル理論との決別ができていないこと

それと相即して、

  • 表象主義を脱却できていない

といったことの方にあるよね。


■追記:
ちょっと訂正。出口さんの、

  • システム理論といえばモデル理論のはずなのに、システム論を採用しながらモデルを拒否するルーマンてなんなの?
  • システム理論では「内部表象」モデルを使うのがふつうなので、表象主義を批判するルーマンとは折り合えないよね。

という ふたつのコメントのうち、後者にいう「内部表象」は、ルーマンの議論でいうと、たとえば「環境構想」とか「外(部)化」に相当するように思われる。
 ということは、ルーマン自身としては、表象主義批判をしているときにいう「表象」と、

私はその表象主義批判も成功しているとは思わないけれど、それはそれとしてしかし

「環境構想」や「外(部)化」(によって構成される対象) は 別のものの「つもり」であるはず。だから、この論点に関する議論は、もうちょっと屈折したものになるはず。


ちなみに、「外(部)化」というトピックは、たとえばこういうところに出てくる:id:contractio:20070918#1190067061