スルバール(1997→1999/2001)「生活世界は安全確実な場か」/ルーマン(1986→1998/2001)「生活世界」

社会学理論の“可能性”を読む

社会学理論の“可能性”を読む

  • イリヤ・スルバール「生活世界は安全確実な場か─生活世界概念の生成と意義」
  • 一 生活世界概念の哲学的意味について
  • 二 生活世界の現れ方と構成
    • 1 生活世界構成の場としての超越論的意識
    • 2 世界内における実践としての生活世界の構成
    • 3 人間の社会性の中での生活世界の構成
  • 三 社会的世界としての生活世界──概念の社会学的転用
    • 1 社会的世界としての生活世界の構造
    • 2 生活世界とシステム
  • 四 生活世界の構造の普遍性と生活世界的パースペクティブの特殊性──生活世界概念の倫理的次元のために
  • I 生活世界の概念
  • II 地盤と地平のあいだ
  • III 生活世界の構成
  • IV 神話と象徴
  • V 社会進化と文字
  • VI 生活世界と批判
  • VII 生活世界の観察と記述──現象学からシステム理論へ
スルバール

162

生活世界構成の意味規定的統一は、主観的パースペクティブとシステム連関的なそれという個々別々なところにまで後退していく。これらの克服のために、フッサールの生活世界概念は、その普遍性において根源的に構想されていたのである。したがって、生活世界という形象へのルーマンの依拠は、ひとつのパラドクスである。

  • 一方で、意味と妥当が生活世界において生成するということが、生活世界の着想の前提のための一般構造として扱われ
  • 他方で、その普遍性が、それの主観的構成過程と集合的なそれとへの分解をつうじて扱われているのである。
ルーマン

180

生活世界への入り口を見失ったのは、フッサールが考えたようにガリレイの物理学が初めてではなく、存在論形而上学がすでに見失っていたのであって、しかもそれは論理的なコード化に基いている。