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ウルフ『農民』
- 著者のフィールドは中米。著作に『20世紀の農民戦争』。
- [186] 人類学者による農民社会のアプローチは、アメリカ人類学に限って言えば、中南米地域研究のグループによってすすめられてきた。
「とくに第二次大戦をはさんでアメリカでは、ニューディール政策や大戦中の善隣政策を通じて中南米に接近した。このように中南米の研究には政府の後押しがあった。こうした人々[中南米の農民]と人類学者の出会いの中で、ことに重要な学者にレッドフィールドをあげることができる。」 - R・レドフィールド『文明の文化人類学―農村社会と文化 (1960年)』 誠信書房
まえがき
- [iv]「この本は未開部族と産業社会の中間に位置する数多くの人類に関するものである。」
- [v] 農民社会を「伝統的」と記述し、その住民を「伝統に縛られた」「近代的」の反対と呼ぶ人がいる。そう呼んだところで、それを悪く記述しているだけで、なぜ伝統が残存し、人々がなぜそれにしがみついているのかという理由は述べられていない。
I「農民文化とその問題」
- [6]
- 西南アジア
耕作と動物の家畜化:紀元前9000年前後
定住の濃厚村落:紀元前6000年前後 - 北東メキシコ
食物生産:紀元前7000年前後
本格的な農耕:紀元前1500年頃
- 西南アジア
- [15] 農民を未開の耕作者から区別するのは賃貸料の生産である」
- 農民という語は、余剰の生産者と支配者との非対称の構造的関係を示す。
- この関係は様々なので、農民という語を意味付けるには、この関係を支える他の条件を問題にしなければならない。
- [17]「ピアノは多声音楽をつくる道具であるが、ピアノなしに多声音楽をつくることはできる。同様に、都市は権力と権勢の編成法の(一般的ではあるが)一つの形にすぎず、唯一の決定的な形ではない。」
「都市ではなく国家が文明の決定的基準であり、未開の食物生産者から農民への移行の発端を示すのは国家の出現である。したがって耕作者が国家社会に組み込まれて初めて─つまり耕作者が自己の社会階層を超えた権力者の要求と制裁に服するとき─我々の問題としたい農民文化という概念が出てくる。」
出てくるのは「概念」ではないだろう。「農民文化」は peasantry の訳。
- [17] 現在入手できる資料に基づくと、国家の始原=農民文化の始原は、中東では紀元前3500年、中米では紀元前1000年と考えることができる。
- [21] ロシアの経済学者チャヤーノフ先生
「農民の農業経済の第一の基本特徴はそれが家族経済であることである。その全体の組織は農民の家族の大きさと内的構成と、家族の消費要求と働き手の数との調整によって決定される。だから農民経済における利潤の概念は資本主義経済下の利潤とは異なり、資本主義の利潤という概念は農民経済には当てはめられない。資本主義の利潤は総収入から全生産経費を差し引いて計算される。…農民経済では生産経費に入り込む要素は資本主義経済における要素とは比較できないような構成単位で表現される。」
説明下手すぎでは。
サンダーズ&マリーノ『新大陸の先史学』
- サンダーズはメソアメリカの先史文化を文化生態学的観点から研究しています。先史学・考古学のデータを民族学の知見を加味して検討するところに特徴があります。
- 考古学と民族学の関係は、〈民族学的な政治体系の分類カテゴリーを先史文化に適用すると、当てはまらないことが出てきて修正や補足を迫られる〉というものです。
I 序論
- [6] 入手しうるデータのほとんどが技術に関するものである考古学にとっては慣習より伝統という言葉の方が使いやすい。「特定の方式に則った人像の芸術表現の伝統」(スタイル伝統)のような限定的な仕方で使えるからである。「土器の製作と使用の伝統」みたいな使い方もできる。
- [11] エルマン・サーヴィスの段階体系
- ①バンド
- ②部族
- ③首長国 chiefdom
- ④古代国家 ancient states
- ⑤産業国家