篠塚昭次(1974)『土地所有権と現代』


ISBN:4140012218

全単語に括弧をつけていくスタイル。うざい。引用時には 途中からすべて省略した。

  • [6]「歴史的にみると、「土地所有権」は紀元前1・2世紀ごろのローマで dominium と呼ばれて生まれたようです。奴隷制大農場の経営権だったため、独占的・排他的な支配権の典型でした。本書で「ローマ法型」の「土地所有権」と名付けたのはこれです。「ローマ法型」の「土地所有権」は、中世の封建社会では姿を消しますが、近代に入ると「囲い込み」によってよみがえりました。不死鳥です。この不死鳥は、1804年のフランス民法に入り、さらに1888年のドイツ民法第一草案に入りました。この事実は、われわれ日本人にとっては重大な事実です。なぜならいまの日本民法の中にある「土地所有権」の規定は、このフランス民法とドイツ民法第一草案を翻訳して「継受」したものだからです。… 「規制」や「計画」をはねつけて、「放任」と「自由」を楽しんだ古代ローマの支配者たちの霊魂がのりうつっているといっても誇張ではありません。中世の封建社会では、土地は規制や計画に拘束されながらでのみ利用が許されていました。規制や計画の主体は共同体としての村落であり、その代表者としての領主でした。… 領主そのものが上級領主の支配を受けていたため、領主の支配力は結局相対的なものだったと見られています。このため、中世の土地所有権には一般的にいって絶対性はなく、厳密な意味での土地所有権はなかったと思います。dominium ではないのです。中世法の代表はゲルマン法です。ゲルマン法では、土地に対する農民や領主の支配を「ゲベーレ」(占有)と呼んでい…ました。そこで本書ではゲルマン法型の「土地〈所有〉権」としてそれを説明することにしました。」
  • [7]「ローマ法型とゲルマン法型は、おそらく土地所有権の二大典型と考えていいでしょう。これ以外の土地所有権の型を考えることもできますが、それらは、この二つの混合型ないし中間型であるとみていいとおもいます。」

「現在現実に存在する法体系の類型としては」という感じかな(?)

  • 近代的土地所有権は土地投機を保障し、社会的土地所有権は生存権を保障する。
    • この区別を強調するために、〈所有/利用〉とか〈土地所有権/土地保有権〉といった区別が使われる場合がある。