『社会の経済』第六章「稀少性」参照文献
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第1章 生存維持倫理の経済学と社会学
- [18] 報酬のよくない農耕や手工芸に労働を割り当て続けるのは、
- (農外の雇用機会が乏しい)農民にとっては: 労働の機会費用が低いから。
- 生存ぎりぎりのところにいる人にとっては: 所得の限界効用が高いから。
- →農民は、労働の限界生産性がゼロになるまで、自分の労働を注ぎ込み続ける。
- [23] 農民が求めているのは、「労働に対してもっとも多くの、かつ、もっとも安定的な報酬をもたらす」ような作物と栽培技術である。
〈多く〉と〈安定的な〉が矛盾する場合には、生存限界近くにいる農民は、通常、危険のより少ない作物と技術を選好する。 - 注46 アントン・メンガー『労働全収権史論 (1971年)』未来社
- [33]「農民の爆発的反抗を引き起こすのは、豊作の年の40%の小作料ではなく、不作の年の20%の小作料である」
「農民の判断基準となるのは、外部からの取り立てそれ自体ではなく、その取り立てを受け入れたあとに残るものが、自分たちの基本的な必要を満たしうるかどうかなのである。」
第3章 危険の分散と植民地体制の変化
三章で地主による取り立て、四章で国家による取り立てを論じます。
79 ビルマ
昔、自給のために耕していた頃、農民は屋根葺き用の草・竹・薪などを共有地からただで集めてくることができた。近所の池沼や小川で魚を捕ることができたし、自分の家で布を織ることもできた。共有の荒地が耕地に変わり、魚捕り場は国有財産と宣言され、自宅での織物は利益にならなくなった。小作農など財産の少ないものは、必要な品々を自分で調達することができなくなり、金を手に入れなくてはならなくなった。