総特集:アンリ・ベルクソン(いただきものなど)

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総特集:アンリ・ベルクソン

ベルクソン哲学の概説書 執筆準備作業進捗報告互助会 はじめました。脱稿目標2021年秋。
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ベルクソン全集(1965-1966)

このあと2010年代に新訳全集が出て(頓挫して)いる。

新しめの邦訳リスト

あわせて再読

おまけ

驚くべきことに、杉山直樹さんの『ベルクソン聴診する経験論』(名著!)がPDFにてWEB公開されました。
www2s.biglobe.ne.jp

アンリ・ベルクソン(1896→2019)『物質と記憶』

ようやく杉山訳を入手。

物質と記憶 (講談社学術文庫)

物質と記憶 (講談社学術文庫)


  • 第七版の序
  • 第一章 表象化のためのイマージュの選別について──身体の役割
  • 第二章 イマージュの再認について──記憶力と脳
  • 第三章 イマージュの残存について──記憶力と精神

  • 第四章 イマージュの限定と固定について──知覚と物質、魂と身体
  • 要約と結論
  • 初版の序
  • 訳者解説(杉山直樹)

引用

文献

アンリ・ベルクソン(1907→1966)『創造的進化』

  • 序論
  • 第一章 生命の進化について──機械論と目的論 017
    • 持続一般について 017
    • 無機物 025
    • 有機体 030
    • 老化と個体 036
    • 生物進化論とその解釈について 041
    • 徹底的な機械論、生物学と物理-科学 043
    • 徹底的な目的論 056
    • 生物学と哲学 063
    • 基準の探求 074
    • 或る特殊例に関する生物進化論の検討 082
    • ダーウィンと微小な変異 084
    • ド・フリースと突然変異 087
    • アイマーと定向進化 091
    • 新ラマルク主義と獲得形質の遺伝 098
    • 論議の成果 106
    • 生命の躍動 109
  • 第二章 生命進化の分岐した諸方向──麻痺状態、知性、本能
    • 進化過程の一般的観念 121
    • 成長 122
    • 分岐した相互補足的な傾向 123
    • 進歩と適応の意義 125
    • 動物と植物との関係 130
    • 動物的生命の図式 144
    • 動物性の発展 151
    • 生命進化の主要な方向 麻痺状態、知性、本能 159
    • 知性の原初的機能 177
    • 本能の本性 192
    • 生命と意識 203
    • 自然における人間の位置 210

  • 第三章 生命の意義について──自然と秩序と知性の形成 214
    • 1. 生命の問題と認識の問題との関係 214
    • 2. 哲学的方法 215
    • 3. この方法の循環論は見かけだけのものである 220
    • 4. 逆の方法は本ものの循環論である 223
    • 5. 物質と知性との同時発生の可能性について 229
    • 6. 物質に内属する幾何学 238
    • 7. 知性の本質的機能 241
    • 8. 幾何学帰納 244
    • 9. 物理法則 248
    • 10. 無秩序という観念の分析にもとづく認識論の素描 250
    • 11. 相反する二つの秩序形式 253
    • 12. 類の問題と法則の問題 258
    • 13. 無秩序と二つの秩序 266
    • 14. 創造と進化 270
    • 15. 物質的世界 272
    • 16. 生命の起原とその運命について 279
    • 17. 生命過程と進化運動における本質的なものと偶然的なもの 285
    • 18. 人間性 298
    • 19. 身体の生活と精神の生活 303
  • 第四章 思考の映画的メカニズムと機械論的錯覚 諸体系の歴史への一瞥──真の生成と偽りの進化論
    • 1. 無の観念と不変性の観念との分析にもとづく諸体系の批判の素描 307
    • 2. 存在と無 310
    • 3. 生成と形態 338
    • 4. ゼノンの論証 348
    • 5. 形相の哲学と、生成についてのその考えかた プラトンアリストテレス 355
    • 6. 知性の自然的な傾き 366
    • 7. 近代科学における生成 370
    • 8. 時間に関する二つの観点 379
    • 9. 近代科学の形面上学 387
    • 10. デカルトスピノザライプニッツ 389
    • 11. カントの批判哲学 400
    • 12. スベンサーの進化論 408

引用

序論

  • 第一章:機械論と目的論という2つの既製服を進化の過程に着せてみるとどちらも合わないことがわかるが、一方は他方よりもましであることがわかる。
  • 第二章:生命がたどってきた進化の線を再構成し、知性をその発生原因のうちに置き戻す。
  • 第三章:知性の発生原因を把握し、その運動を追求する。
  • 第四章:悟性そのものも、或る種の訓練を経るならば、悟性を超える哲学を準備することができることを示す。

第一章 生命の進化について──進化論と目的性

第二章 生命進化の分岐した諸方向──麻痺状態、知性、本能

第三章 生命の意義について──自然と秩序と知性の形成

第四章 思考の映画的メカニズムと機械論的錯覚 諸体系の歴史への一瞥──真の生成と偽りの進化論

文献

アンリ・ベルクソン(1932→1965)『道徳と宗教の二源泉』

  • 第1章 道徳的責務
    • 社会秩序と自然秩序
    • 社会における個人
    • 個人における社会
    • 自発的な服従
    • 抵抗への抵抗
    • 責務と生命
    • 定言命令
    • 閉じられた社会
    • 英雄の呼び声
    • 情動の推進的な力
    • 情動の創造的な力
    • 情動の表象的な力
    • 魂の解放
    • 前進
    • 閉じられた道徳と開かれた道徳
    • 閉じられたものと開かれたものとの間
    • 自己尊敬
    • 正義
    • 圧力と渇望
    • 道徳における主知主義
    • 道徳における「生命の飛躍」
    • 調練と没入
  • 第2章 静的宗教
    • 理性的存在における不条理
    • 仮構機能
    • 仮構と生命
    • 「生命の飛躍」の意味
    • 仮構の社会的役割
    • 断片的人格
    • 秩序破壊に対する保証
    • 意気消沈に対する保証
    • 有益な仮構の一般的主題
    • 不条理なものの異常発達
    • 予見不可能なことに対する保証
    • 成功への意志
    • 偶然
    • 文明人における原始的心性
    • 魔術一般
    • 魔術の心理学的起原
    • 魔術と科学
    • 魔術と宗教
    • 精霊信仰
    • 類として扱われた動物
    • トーテミズム
    • 神々の信仰
    • 神話的空想
    • 仮構機能と文学
    • どのような意味で神々は存在したか
    • 静的宗教の一般的機能

  • 第3章 動的宗教
    • 宗教という語の二つの意味
    • なぜ宗教という同じ語を使うのか?
  • 第4章 最後の指摘 機械主義と神秘主義
    • 閉じた諸社会と開かれた社会
    • 自然的なものの存続

引用

第二章「静的宗教」

125

たとえば、今日の心理学は、知覚や解釈や理解などの一般的能力を設定するが、それが、人に適用されるか事物に適用されるかに従い、また知性が社会環境中に浸されるか否かに従って作用する、異なった機構でないかどうか、吟味することをしない。

  • 2-2 以下では、想像力なる漠然とした語で指示されてきたもののうち、宗教にかかわる部分を「仮構」もしくは「虚構」と呼ぶことにします。
  • 2-5 145 ゴチ 「それゆえ、この第一の見地から考察すれば、宗教は、知性の解体力に対する自然の防御的反作用である。」
  • 2-7 〈神聖/危険〉のアンビバレンスについて

2-7 までが宗教の第一の機能について。2-8から宗教の第二の機能について。

  • 2-8 153 考察の導きの糸
    • 生命の領域は本質的に本能の領域である
    • ある種の進化の線上においては、本能はその場所の一部を知性に譲渡した
    • その結果生命の混乱が生じうる
    • その場合、自然は知性に知性を対立させるよりほかに方策がない
  • 156 この節のまとめ 「この第二の見地から考察すれば、宗教は、知性による、死の不可避性の表象に対する、自然の防御的反作用である。」
  • 2-11 164 検討の手順に関する定式:
    • ある一つの本能的活動を設定する
    • それから知性を出現させ、その結果ある危険な混乱が生ずるかどうかを探究する
    • そうした混乱が生ずる場合には、本能が攪乱者たる知性の内部に生じさせるさまざまの表象によって、平衡がたぶんとりもどされるだろう。
    • すなわち、もしそのような表象が存在するとすれば、それは基本的な宗教観念である。
  • 167 節まとめゴチ 「それらの[宗教的]表象は、最初の発想と望まれた結果との間にある、意外さによって意気を阻喪させるような、余地の──知性による──表象に対する、自然の防御的反作用である」
  • 2-13 174 「世界大戦に参加したある士官が語ってく´れたところでは、もっとも多くの死者を出したのは砲撃であったにもかかわらず、兵士たちは砲弾よりも小銃弾をおそれていた、のがたえず見られたそうである。それは、小銃弾によって狙われていると感じるからであり、だれもが、自分ではそうするつもりではないのに、次のように推論しているからである。すなわち、「死とか重傷とかいった、自分にとってきわめて重大な結果を生むためには、それと同じような重大な原因がなければならず、ある意図がなければならない」と。まさしく砲弾の炸裂で傷つけられたある兵士は、自分の最初にしたことは、「なんと馬鹿な!」と叫ぶことだった、と語っていた。この砲弾の炸裂が──純粋に機械的な原因によって発射され、だれかれなく傷つけ、あるいはだれも傷つけなかったかも知れぬこの砲弾の炸裂が──他人でなく自分を傷つけるに至ったことは、かれの自発的知性からみれば、非論理的であった。」
  • 2-16 182 テーゼ 宗教は、怖れであるよりも、むしろ怖れに対する反作用であり、そして、宗教はただちに神々への信仰ではない。
  • 2-17 節末 「結局のところわれわれは依然として、祖先たちのままなのである。魔術への傾向は、科学によって抑圧されているが、生きのこっており、自分の出番を待っている。科学への注意が一瞬間でもそらされたままになると、魔術はただちにわれわれの文明社会のなかになだれこんでくる。あたかも、覚めていたときに抑圧されていた欲望が、夢のなかで本望を遷しようと、この上なく浅い眠りを利用するようにだ。」
  • 2-18 節末 「宗教が認識にかかわりをもつのは、ある種の知性の危機にそなえるために知的表象が必要なかぎりにおいてだけである。こうした表象を切りはなして考察し、それを表象たるかぎりにおいて批判することは、この表象がそれに相伴う行動と、分かちがたく融合していることを忘れるものであろう。偉大な精神の持主たちが、児戯とさらには不条理のかたまりでさえある、かれらの宗教をどうしてうけ入れえたのか、とわれわれが考えるとき、われわれが犯すのはこの種の誤りである。泳いでいる者の身振りにしたところがそうで、そこに水があること、水が沐ぎ手をささえていること、その人の運動、水の抵抗、河の流れは不可分の全体として一緒に考えられるべきこと、を忘れているような者にとっては、それは愚劣でこっけいなものにみえるだろう。
  • 2-26 248 テーゼ 「静的宗教とは、知性の行使に際して、個人に対しては意気消沈させ、社会に対してはこれを解体させうるようなものに対する、自然の防御的反作用である。」
第三章「動的宗教」
  • 3-1 253 ここまでのまとめ 「われわれ人類の出現によって表わされた創造的飛躍の停止そのものが、人間知性とともに、人間知性の内部に、宗教を下ごしらえする仮構機能を与えたのである。以上が、われわれが静的あるいは自然的と呼んだ宗教の役割と意味である。宗教とは、反省をそなえた存在において、生への結びつきの、ときおり生ずる不足を埋め合わすべきものである。」

文献

第三章「動的宗教」


ついでにこのあたりの新書も読んでおく。

山崎 亮(2002)『デュルケーム宗教学思想の研究』

総特集:ベルクソン

デュルケーム宗教学思想の研究

デュルケーム宗教学思想の研究

  • 作者:山崎 亮
  • 発売日: 2002/01/01
  • メディア: 単行本

  • 第四章 宗教研究への傾斜と新たな展開
    • 1 発生論的方法と宗教現象の定義
    • 2 集合表象研究と価値論的志向
    • 3 デュルケーム宗教論の転回
    • 4 社会学的理想主義の立場
  • 補 論 ロバートソン・スミスによる「啓示」をめぐって
  • 第五章 『宗教生活の基本的諸形態』の宗教学的読解
  • 終 章 宗教と社会

イーヴリン・アンダーヒル(1911→1990/2016)『神秘主義』

『二源泉』第三章「動的宗教」における参照物。第二部だけの抄訳。
この著者には ほかにもいくつか邦訳がある。




  • 訳者解説
  • はじめに
  • 第2章 自我の覚醒
  • 第3章 自我の浄化
  • 第4章 自我の照明
  • 第5章 声とヴィジョン

  • 第6章 内面への旅1──潜心と静寂
  • 第7章 内面への旅2──観相
  • 第8章 脱我と歓喜
  • 第9章 魂の暗夜
  • 第10章 合一の生
  • むすび
  • 付録 キリスト教紀元からブレイクの没年までのヨーロッパ神秘主義の歴史的素描