ウィンチの古典を読了。(id:contractio:20040304#p1)
- 作者: ピーター・ウィンチ,森川規雄
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 1977/06/05
- メディア: 単行本
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The Idea of a Social Science: And Its Relations to Philosophy
- 作者: Peter Winch
- 出版社/メーカー: Routledge
- 発売日: 1995/03/01
- メディア: ペーパーバック
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びっくり。名著でした。30分もあれば読めてしまううっすい本だが、内容は濃い。もっとまじめに読んでおけばよかった。
というか復刊しる。
原著は58年に出ているのだが、ひょっとするとこの時期って、ウィトゲンシュタインの遺稿は、まだほとんど出版されていなかったんじゃないだろうか。ならなおさらすごい。もっとも、ウインチはウィトの翻訳をやっていたくらいなので、草稿も見ることができてた、という可能性も大いにあるが。このへんはよく知らん。
ウィンチは、もっぱら『探究』のみに基づいて議論をしていて、たぶん──学部生当事の私は──、「遺稿みてないじゃーん。出版年古いじゃーん」という〔=「新しい研究のほうが良いもののはず」という〕思い込みと、「概念分析は哲学の仕事」という著者の主張(というか、著者が自分の主張に与えたその「表現」)に幻惑されて*1、「ウィンチは社会科学の価値を見誤って哲学主義的な主張をしている」とウィンチの主張を見誤ることによって、その議論の価値も見誤っていた ‥‥のかもしれないなぁ、と反省いたしました次第でござる。そして。
クルターの議論は、かなりウィンチの議論に沿ったものだといえそう(まぁ、「ウィトゲンシュタイン派」といってるくらいだから、依拠しててもぜんぜんおかしくないわけだが)。 「アプリオリ」も「リマインダ」もウィンチ本に登場するし。そのかわり、「コンティンジェント」や「総合的アプリオリ」「modal spesification」などは登場しない(クルターはどっからこんな←余計(?)なのを引っ張ってきたんだ!?)。つづき→http://d.hatena.ne.jp/contractio/20040310#p1