ホーベル本続き。第11章「法の機能」。
- ホーベル、『法人類学の基礎理論:未開人の法』、千葉正士/中村孚美訳、東京、成文堂、1984
- E. Adamson Hoebel, The Law of Primitive Man: A Study in Comparative Legal Dynamics,1954
極度に単純な社会であれば別として、およそ社会を維持してゆくには不可欠な一定の機能を、法は果たしている。
- その第1は、一社会に属する個人と集団のあらゆる活動の間に少なくとも最小限の統合を維持する為に、社会構成員相互の関係を規定し、どのような活動が許されまた許されないかを確言することである。
- 第2は、はだかの実力を飼いならして秩序の維持に役立つように働かせる必要から来る。それは権威を配分して、社会的に承認された特権的権利として物理的強制をだれが行使したら良いかを決定することであり、同時にまた、法のめざす社会的目的を達する為に物理的サンクションのもっとも効果的な形式を選定することである。
- 第3は、紛争事件が生じた場合に、それを処理することである。
- 第4は、生活条件の変化に応じて、個人と集団との関係を規定し直すことである。それは〔法の〕適応力を維持するためである。[ホーベル上掲書:p.316]
この四定式は、いまでも──少なくとも啓蒙書などでは──見かけますな。