- 張江洋直、「シュッツ科学論の二重性へ:科学的活動論としての「見識ある市民」」、『年報社会科学基礎論』3号、2004/05
をきっかけに、「リンチによるシュッツ批判→シュッちゃんからの反批判」周辺の議論をフォローすべく文献リストをつくってみる。引用は、上掲張江論文より。
当論点に関する張江論文の主張は、シュッツには「科学的活動scientific activity」と 「科学的態度scientific attitude」についての議論があるのに、リンチ(をはじめとするシュッツ批判者たち)の批判は、後者(のみ)を前景化させることでなりたっている、というもの。
- Schutz, A, Collected Papers I, Nijhof. 1962
- 『シュッツ著作集第1巻 社会的現実の問題 [I]』、マルジュ社、渡部光・那須壽・西原和久訳、1983
- 『シュッツ著作集第2巻 社会的現実の問題 [II]』、マルジュ社、1983
シュッツ科学論への批判は総じて、シュッツによる「科学的態度」論を前景化することによって成立している。その典型はM.リンチによるシュッツ科学論への批判[Lynch, 1988]であるが、それへの反批判もすでに周到かつ十全に為されている[矢田部,1998; 浜,1999]。
- Lynch, M. 1988 “Alfred Schutz and Sociology of Science,” L. Embree ed., Worldly Phenomenology, Center for Advanced Research in Phenomenology and Univ. Press of America.
- 矢田部圭介、「意味とワーキング」、『現象学的社会学は何を問うのか』、勁草書房、1998
- 浜日出夫、「シュッツ科学論とエスノメソドロジー」、『文化と社会』1、マルジュ社、1999
よって、ここでは、わが国の中心的なエスノメソドロジストのひとりである山田富秋による実践論的なシュッツ解読を吟味し、そこからシュッツ科学論の可能性の中心をどこにみるべきかを明示したい。ちなみに、かれはガーフィンケル=リンチによるエスノメソドロジー理解に異を唱え、「エスノメソドロジーにとってシュッツから継承したもっとも重要な概念は、「身体を媒介にした実践的で対話的なコミュニケーション」である」[山田,2000: 65]と、その実践論的な理論志向を一貫して示している。
あれ? 意外なことに(?) ほとんど読んでおるな。みんな忘れてるけどw。
ほかにフォローすべき文献として、どんなのが挙げられますかねぇ。>識者さん