夜食。おうちにある本を読むよシリーズ。
小ネタが冴え渡っていて面白すぎるのでまた読んでしまったよwww。

モラリストの政治参加―レイモン・アロンと現代フランス知識人 (中公新書)
- 作者: 杉山光信
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1987/03
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (4件) を見る
■アルチュセールが論壇の寵児となり(1965)、アロンが検討を加える(1967)。コレージュの同僚レヴィ=ストロースが手紙をよこす。
1965年に二つの著作をひっさげて登場したアルチュセールは、認識論的切断を説き、「構造化された全体」の概念から、かつてだれも企てなかった「歴史の科学」を創始するのだと唱えた。しかし、かれが手にしている概念装置はといえば、これまでくりかえされたのと変わらぬ5つの生産様式の類型である。[‥] アルチュセールが『資本論』をとりあげ、マルクスの天才を剰余価値の理論にみるとき、エンゲルス、カウツキー、第二インターナショナルの理論家たちの立場をなんら革新するものではない。アロンは、ひょっとして「この一世紀間、すべてのマルクス解釈者たちの頭を悩ませていた諸問題を一挙に解決させてくれるマルクス」が示されているのではないかとの好奇心から研究してみたのだが、「アルチュセールの思想のなかに、なんら独創的なものをみなかったし、かれを〈偉大な哲学者〉というに値するものを見いださなかった」。アロンがみたものは、サルトルの実存主義的マルクス主義への反動から、弟子たちを『資本論』、生産様式、諸審級へと向かわせ、バシュラール的な認識論の装いをしたスコラ学へと導いていったアルチュセールなのである。 [p.178-9]
この書物[『ある聖家族からもうひとつの聖家族へ』(1967)]はアルチュセールやかれの弟子たちからは完全に黙殺されたのだが、アロンがそれを贈呈したレヴィ=ストロースからは「アルチュセールの著作『マルクスのために』と『資本論を読む』とを読まないままでいたのが正しかったのを確信させてくれた」という手紙を受け取る...[p.163]
おっさんwwww
■ところでそのアルチュセールはといえば。
自伝的な『パリ-モンペリエ、1945-1963』のなかでル・ロワ・ラデュリーが描いている当時30歳を少し越えたばかりのアルチュセールは、ぱっとしたものではない。すでにアルチュセールはエレーヌ・リトマンと結婚していた。エレーヌは戦争中はある大きな都市のレジスタンス組織で活動していた事の在る行動的な女性であったが、その当時はルイ・アラゴンとあいまいな関係になっていて面倒の種であり、党の指導者たちはアルチュセールにエレーヌと分かれるように圧力をかけていた。そして細胞での在る集会の席上でそのことを告げられたアルチュセールはその勧告を認めた。だがしばらくすると二人の関係はもとどおりになっていた、というのである。ル・ロワ・ラデュリーはこの集会に立ち会い、無言で過ごした体験を忸怩たる思いとともに書き残している。 [p.174]
テクストから受ける印象そのままの 実に曖昧なエピソードでありますwww