涜書:カッシーラー『文化諸科学の論理──五つの試論』

複数形が──西南学派とカッシーラーを分つ──キモ。
「Kulturwissenschaften」に「人文科学」の訳語を充てるのはいかがなものか。

そもそも「人文科学」というのが(定着してしまった)誤訳── or 謎訳──なのに...。
で、「Kulturphilosopie」は「人文哲学」って訳さなくていいの?

1939年(スウェーデン時代)の論文に、それを敷衍した内容をもつ 1942年(イェール時代)の著作をあわせて訳出したもの。

  • Ernst Cassirer (1942) Zur Logik der Kulturwissenschaften, Göteborg
  • Ernst Cassirer (1939) Naturalistische und humanistische Begründung der Kulturphilosopie

目次

  • 第一試論 人文科学の対象
  • 第二試論 事物の知覚と表情の知覚
  • 第三試論 自然概念と文化概念
  • 第四試論 形式問題と因果問題
  • 第五試論 「文化の悲劇」ということ
  • 付論 文化哲学の自然主義的基礎づけと人文主義的基礎づけ



本日の御金言

  • 「経験の可能性の条件は、対象の可能性の条件と同じですよ」
要旨
  • 論理の範例は数学が与えるのか、それとも数理的論理は「広い意味での論理的なもの」の特殊な姿なのか。カント も 新カント派マールブルク学派)も前者を採るが、カッシーラーは後者を採る。
    つまり神話や芸術においても、そして数学においても、対象構成の「論理」がそれぞれに働いており、どちらも「象徴」を用いて実現される。双方を公平かつ統一的に扱うためには、まず言語に対する偏見を払拭し、「表情」の領域にまで立ち返らなければならない。云々。