霊長類論のルーマン

ラインナップは、人類学者(ブッシュマンとアフリカ遊牧民)の北村光二、チンパンジー学者の西江仁徳、社会生態学の中川尚史の原著論文に対し、D・S・スプレイグ、室山泰之、曽我亭、森明雄、足立薫、伊藤詞子、藪田慎司がコメント、及び論文著者による返答というスタイル。日本の科学雑誌では珍しい。

北村・西江はあまり明示していないが、ルーマンの二重偶侑性を下敷きにしていて、それを実際の観察データを示しながら、社会というものをさぐるというスタイル。中川は基本的に社会生態学における友達関係の総説から出発して、それだけでは示されないものがあるからこそ外れ値を記録することで社会を描写していく必要がある、とするスタイル。中川論文はまだまだ少ない遺伝的可塑性の文献としてもこれから評価されていくだろう。

nabeso>20090108>サル学と社会
「社会の学としての霊長類」ではないのかな?


「霊長類研究」にはウェブサイトがあって、

「電子ジャーナル化されてます」と書いてあるので喜んだのだが....

いまのところ、「最新」は 23-1 のようですな...(´・ω・`)。


※ご参考: 

人間性の起源と進化

人間性の起源と進化

  • 北村光二「「家族起源論」の再構築―レヴィ=ストロース理論との対話」
  • 足立薫 「混群という社会」
  • 伊藤詞子 「まとまることのメカニズム」