お買いもの思案:荒畑靖宏『世界内存在の解釈学』/竹内聖一「実践的知識と意図」

via faa
これはたぶん買いかなー。

世界内存在の解釈学―ハイデガー「心の哲学」と「言語哲学」

世界内存在の解釈学―ハイデガー「心の哲学」と「言語哲学」

「言語」の観点から、現代の英米哲学とハイデガーを接続。『存在と時間』の不整合を指摘しつつ、後期思想につながる精髄をえぐり出す。ハイデガーの概念は、いま何を明らかにするのか。

第一部 ハイデガー心の哲学

  • 第一章 世界内存在、開示性、理解
  • 第二章 理解、ふるまい、テクネー
  • 第三章 日常性の心の哲学

第二部 ハイデガー言語哲学

  • 第四章 ロゴスと「として」構造
  • 第五章 有意味性、道具、語り
  • 第六章 真理と有意味性
  • 第七章 世界 - 言語 - 人間
http://www.shumpu.com/index.php?itemid=3133



  • 竹内聖一(2007)「実践的知識と意図」

アンスコムを(デイヴィドソンとかの出汁に使わない)アンスコム論てちょっとめずらしいよね。
気になるけど.... 4,725円か....。

実践的知識とは行為者が自らの意図的行為について観察によらずにもつ知識のことである。本研究の目的はこの概念の解明にある。第一に、実践的知識が「観察によらない」のは、それがアスペクト把握のように知覚から独立したものだからであると論じる。第二に、実践的知識は、行為者の欲求を実現するには何をすればよいのかを行為者に示すものであるがゆえに、『知識』と呼ばれるのだという解釈を提示する。

http://www.bookpark.ne.jp/cm/uths/select.asp

1 研究の主題

 本研究の目的は、まず第一に、英国の哲学者 G. E. M. アンスコムがその著書『インテンション』において提示した「実践的知識」の概念を解明することにある。
 人が意図的に行為しているとき、自分が何をしているのかを観察によらずに知っている。そして、この知り方は意図的に行為しているときの行為者自身に固有なものである。アンスコムは行為者に固有なこの知識を「実践的知識」と呼び、それは観察によらずに得られると主張する。
 この「実践的知識」の概念は、『インテンション』における彼女の考察の核心をなす概念であるが、彼女の議論の難解さも手伝って、これまで正確に理解されてきたとは言いがたい。特に、それがどのような意味で「観察によらない」ものであるのかということについてはさまざまな見解がある。そこで本研究では、まずそれがどのような意味で「観察によらない」ものなのかを明らかにする。この問いに対するわれわれの解答は「実践的知識とは自分の行為をあるアスペクトの下にとらえることである」というものである。アスペクト把握はある意味で知覚から独立したものであり、それゆえに実践的知識は観察によらないものと呼ばれているのである。
 しかしこのように論じれば、実践的知識を、通常言われる意味の「知識」の枠組みの中で理解することは困難になる。なぜなら、自分の行為をあるアスペクトの下にとらえることは、必ずしもその行為について真なる判断を下していることを保証するものではないからだ。
 そこで、本研究の第二の目的は、実践的知識がどのような意味で「知識」と呼ばれているのかを明らかにすることである。『インテンション』においてアンスコムは、実践的知識と実践的推理の関係を強調している。両者の関係についてのアンスコムの議論を手がかりとしてわれわれが到達するのは、「実践的知識は、行為者の欲求を実現するには何をすればよいのかを行為者に示すものであるがゆえに『知識』と呼ばれるのだ」という解釈である。通常の知識が、世界に対する正しい認識を得るのに役立つのに対し、実践的知識は、欲求に合わせて世界を変化させるのに役立つものなのである。

2 論文の構成

 本研究は大きく分けて2つの部分に分かれている。前半の第1章と第2章において考察される問いは、「実践的知識とは何か」という問いである。
 アンスコムは実践的知識を「意図的行為についての観察によらない知識」と特徴づけてはいるものの、『インテンション』においてこの概念に対する体系的な説明を与えてはいない。このため、彼女の議論は今に至るまで正確に理解されているとは言いがたい。また、そのために誤解に基づく批判も多くなされてきた。それゆえ、前半部における考察の目標は、実践的知識の姿を正確に描き出すことにある。われわれはその過程で、実践的知識が行為において果たす重要な役割を見いだすことになるだろう。[...]

http://www.l.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/thesis.cgi?mode=2&id=540

ちなみに学会報告要旨がネットにあがっておりますな。


識者に存在を教えていただいた『インテンション―実践知の考察』のコメンタリー:

The Philosophy of Elizabeth Anscombe

The Philosophy of Elizabeth Anscombe