涜書:菊池綾子&村川 隆(1955)『アメリカ社会学の展望』

20世紀アメリカ社会学の展望 (1957年)

20世紀アメリカ社会学の展望 (1957年)

Robert MacIver と Jacob Balzer のところに留学していた方々。
菊池綾子著『家族の研究』(新曜社 1959年)は、渡辺秀樹・池岡義孝監修の『戦後家族社会学文献選集』の一冊に入っている。

  • 『20世紀アメリ社会学の展望』によせて ロバート M. マッキーバー
  • はしがき
  • 第一章 社会学の出発(1905年-1918年)
    • 1. 初期の社会学の生誕及びその発展
    • 2. コント及びスペンサーの影響
    • 3. 創始期に於ける四つの課題──アメリカ的科学の開花
    • 4. 自然法への信頼──アメリカ的なものへの定着
    • 5. 社会的シンポへの信頼──ひとつの楽天主義
    • 6. 主流的な社会改良思想
    • 7. 社会観に於ける個人主義的原則の適応
    • 8. 第一章をかえりみて
  • 第二章 社会学の青年期(1918年-1935年)
    • 1. アメリカ的科学の結実
    • 2. 特殊領域の開拓
    • 3. 研究における協同の必要
    • 4. 新理論構成の必要
    • 5. 科学方法論への関心
    • 6. 具体的経験的調査の問題
    • 7. 一元論的偏向の是正
    • 8. 事例研究の発達──統計学への関心
    • 9. 主観主義・客観主義の論争1
    • 10. 主観主義・客観主義の論争2
    • 11. パースナリティ研究──シカゴ学派の展望
    • 12. 社会構造の新理論──パークについて
    • 13. 文化的遅滞の理論について──オグバーンについて
    • 14. 第二章をかえりみて
  • 第三章 社会学の壮年期(1935年-1955年)
    • 1. 社会学の組織的展開
    • 2. 協同研究の新しい収穫
    • 3. 社会学の効用性
    • 4. 理論に対する新しい自覚
    • 5. ヨーロッパ社会学の影響
    • 6. 新実証主義──ランドバーグについて
    • 7. 第三次主観主義──新社会行為理論の展望
    • 8. 中間領域理論──マートンについて
    • 9. 第三章をかえりみて
  • この書を終わるにあたって──回顧と展望

第三章 社会学の壮年期(1935年-1955年)

7. 第三次主観主義──新社会行為理論の展望

p. 146。著者が第二次大戦後・1950年代のアメリ社会学の主流的見解──相互主義的社会理論 Social Interaction Theory──としてまとめている見解:

  • 第1命題: 集団行動は、個人の相互関係内における主観的意図にまで遡行して、始めて理解されなければならない。
  • 第2命題: 目的を目指して一定方向性を有するに至る社会的行為というものは、ある一定の状況内にあって、すなわち特殊の場と時間の下で発現する。
  • 第3命題: 常に目的の達成に当たっては、いくつかの択一的手段が存在し、また目的自身も択一的に存在するが故に、そこには主体的行為者の選択が行われねばならない。
    • この三命題から、行為を構成する最小限の要素は「手段・目的・条件・規範」の四つであることが導出される。

これらはズナニエツキ、マッキーバー、ベッカー、パーソンズなどに共通する見解だと言われている。