実存主義から自己啓発へ:パウル・ティリッヒ、ロロ・メイ、ヴィクトール・フランクル



ティリッヒ(Paul Tillich)とメイ(Rollo May)

フランクル

    • -

土居真俊(1955/1956)「パウルティーリッヒの実存主義1&2」

序言

市川喜一「宗教の将来──ティリッヒ

  • ◆古屋安雄(1985)『宗教の神学 ― その形成と課題』ヨルダン社 ISBN:4842800925
  • ティリッヒ1886年生まれ。
  • 本質主義実存主義について
    本質主義は、言語や理性をもつ人間の自然における位置や意義を問い、人間の本質を運命の中に身を置きながら自由である、すなわち有限なる自由であるとしました。これを受けて近代の神学は、人間を自己の本性を完成する能力がある存在と考え、道徳主義的となり、恩寵の福音から離れていきました。実存主義はこの傾向に反発して、人間は善と悪の混合物であること、意志することを行うことができるという信念の誤りを明らかにし、時間空間の世界では道徳的に完成された社会は実現できないことを示しました。それは積極面では、神がわれわれの実存状況を改変する力をもった神として、イエス・キリストがわれわれの古き存在を克服する新しい存在の顕現として把握される道を開きました。実存主義は、近世のプロテスタンティズムが見失っていた恩寵の福音 ― 受け容れがたい人間存在の受け容れ ― を再発見させ、伝統的聖礼典の象徴(象徴については後述)に新しい意味を与えました。さらに実存主義は聖書、とくに新約聖書の古い象徴や神話を新しい時代にふさわしい解釈をすることを教えました。最後にティリッヒは、「現代の神学は実存主義から、人間存在の実存状況の再発見、恩寵の意義の再発見、聖書の新しい解釈の展開、という三つの賜物を受けている」という言葉でこの講演を締めくくっています。」
  • ティリッヒ『組織神学』の構成:
     第一部「理性と啓示」
     第二部「存在と神」
     第三部「実存とキリスト」
     第四部「生と霊」
     第五部「歴史と神の国
  • 宗教現象学が。
    「こうして宗教という対象に対して用いられる唯一の方法として、ティリッヒは「体験分析の方法」をあげます。これは諸体験を、直接に体験された性格において観察し、記述する。そして、それと他の体験された諸現実との関係を示し、それが人間の生において占める場所を示し、その体験そのものの構造から内的な批判を行うというものです。現実は諸現象に自らを示しますが、それを記述する前に、それらの現象についての理論を立てません。ティリッヒは、この方法はフッサール現象学を(ハイデッガーを経て)継承し発展させたものとしています。この方法の一つの実例として、後半で聖なるものの観念を論じます。」
  • 記号と象徴の違いについて。
    「自己以外の何かを指示するという働きにおいては象徴と記号の区別はありません。記号と象徴の違いは、自己を超えて指示する対象との内的な関係の有無です。記号はその内的関係がありません。信号の青色と車の進行には内的関係はなく、車の進行指示は他の記号でも示すことができます。それに対して象徴はそれが指示する対象に参与しています。」
  • 神的過程
    「神的根底で起こっていることはわれわれの思いを越えていますが、神が永遠において行われること、神が自らとの自己同一を越え、そして自らとの統一を再建するということは、有限な生命過程においても反復して起こることです。神は永遠において肯定し、否定を否定する。この弁証法は、真実なものであるかぎり、すべての生命過程の記述となります。その過程の中に自己よりの超出と自己への還帰があり、それは自己統合、自己生産、自己純化の相をもちます。この生成、生命の創造性は、すべての存在の根底に根ざしています。」

菊地 順(2000)「パウルティリッヒ実存主義

どこに逆説が?

鬼頭葉子(2002)「ティリッヒヤスパース

岩村太郎(2002)「ティリッヒ神学の批判的継承と発展」