どうもありがとうございます。一日千秋の思いで待ってたぜ!


- 導入 001
- 1 思考の原理の探求としての「学問論」
- 2 現象学と分析哲学:思考に関する二つの研究潮流
- 3 本書の構成
- 第1章 ダメットのフレーゲ解釈とフッサール評価 017
- 第1節 ダメットのフッサール批判の基本構造 019
- 第2節 文中心テーゼ 028
- 第3節 情報・表象・主張 031
- 第4節 意味論と意味論的値 038
- 第5節 真理と主張に関するダメットの見解 049
- 第6節 フレーゲの指示概念と意味論的値 053
- 本章のまとめと次章以降の課題 057
- 第2章 フッサールの対象概念と意味論的値 059
- 第1節 フッサールの対象概念 060
- 第2節 名辞および文以外の「対象」は何か 070
- 第3節 指示の理論なしの意義の理論? 076
- 第3章 意味論の基礎 083
- 第1節 基礎意味論とは何か
- (1)意味論の基礎
- (2)メタ意味論の二つの課題
- (3)基礎意味論的解釈
- 第2節 識別能力解釈 095
- (1) 識別能力と言語の社会性
- (2) 用語の整理と識別能力解釈
- 第3節 意味論と基礎意味論 114
- 本章のまとめと次章以降の課題 118
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- 第4章 『論理学研究』における基礎意味論 121
- 第1節 フッサールの表現分析 122
- (1) フッサールの意味概念の基礎意味論的解釈
- (2) フッサールにおける意味と理解
- (3) 意味と質料
- 第2節 『論理学研究』における真理観 131
- (1) 真理と充実化可能性
- (2) 経験的言明における確証反証テーゼの問題
- (3) 確証反証テーゼと充実化手続きとしての意味
- (4) 算術的言明から経験的言明ヘ
- 第3節 充実化手続きとしての意味 144
- (1) 数学的言明における直接的表象と間接的表象
- (2) 経験的言明における間接的表象と直接的表象
- 第4節 「独立性・非独立性」再訪 157
- 第5章 『論理学研究』と意味の神話 161
- 第1節 第二領域の神話と基礎意味論 165
- 第2節 意義を独立自存だとみなすとはいかなることか 167
- (1) 用語の整理:普遍的対象と抽象的対象
- (2) 独立自存であるとはどういうことか 170
- 第3節 カテゴリー錯誤とは何か 176
- 第4節 カテゴリー錯誤と神話 179
- 第5節 意義のカテゴリー錯誤はいかにして生じるか 183
- 第6節 意味のスペチエス説 192
- 第6章 『論理学研究』の「現象学」 197
- 第1節 メタ意味論的探究としての現象学と狭義の現象学 198
- (1) 「数学者の仕事」と「哲学者の仕事」
- (2) メタ意味論的探究としての現象学
- (3) 形而上学無前提テーゼ
- 第2節 狭義の「現象学」とその課題 217
- (1) 内的特性テーゼを擁護する二つの議論 217
- (2) 正しい知覚と誤った知覚の区別の問題との違い 228
- 結語 241
- 付録A 意味論・形而上学・理解の理論 243
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導入
015
これを受けて、本書の構成は次のようなものになる。
- 第1章では、フレーゲの指示概念の背景にダメットが見て取っていた理論的枠組み、つまり「意味論」の目的とその重要性を明らかにする。
- より具体的には、ダメットが「意味論的値」と呼ぶ理論的概念の眼目とその重要性を一定の仕方で明確化した上で、それがフレーゲに見出されるとダメットが考えた根拠を確認することがこの章の課題となる。
- 第2章では、フレーゲの指示概念に相当する概念をフッサールが欠いていたというダメットの主張に関して、フッサール研究の側からこの点に応答しようとした先行研究を参照しつつ、その達成点を明確化する。
- この作業の結果として、ダメットの批判に対してフッサールを擁護するために示さなければならないことが何であるかがより具体的な形で提示される。
- 第3章では、基礎意味論とはいかなるものであるかを、近年「メタ意味論」と呼ばれる理論的営みのうちに位置づけた上で、識別能力と指示をもつ仕方の間の関係に関するある見解を擁護する。
- そして第4章において『論理学研究』のフッサールが具体的な基礎意味論的考察を展開していたということを論じる。
- 第5章では、同様の理論がフレーゲには見出せないのか、またそうだとしたらなぜフッサールはそれに着手できたのか、という当然生じる疑間に対して、ダメットのフレーゲ批判を参照軸としながら、フッサールの意味に関する見解を解釈することで答える。
- この作業を通じて、「意味のスペチエス説」と呼ばれるフッサールの意味概念が、基礎意味論的考察に適切に開かれたものだという点で、フレーゲの意義概念に比べて大きな長所をもつものであることが確認される。
- 最後の第6章では、それまでの議論を踏まえた上で、『論理学研究』においてフッサールが採用している方法論いわゆる「現象学」と呼ばれる方法論とは何かに関する解釈を行う。これにより、『論理学研究』における現象学が多層的なものであること、そして通常「現象学」と言われている見解を分析哲学派との対話の中で適切に養護するために今後いかなる論点を検討すべきなのかが明確となる。
- [017] ダメットによるフッサール評価の骨子
(1) フレーゲの指示概念は意味論的値として解釈できる
(2) フッサールのいかなる概念も、意味論的値としては解釈できない
(3) 意味論的値として解釈できる概念を含まない理論は、(それを含む理論と比して)言語的意味と言語的指示に関して見るべきところがない
(4) フッサールの理論は、(フレーゲの理論と比して)言語的意味と言語的指示に関して見るべきところがない
本書の標的は (3)。
第3章 意味論の基礎 083
- [084]「基礎意味論とは、一言で言えば、ある言語の各単純表現に関して、それがその意味論的値をもつ仕方を明にする理論である。この基礎意味論のアイデアを踏まえることで、次の二つが可能になる。
- 一つは、フレーゲの意義概念およびフッサールの意味概念に対するある種の解釈を定式化することであり、
- もう一つは(その種の解釈が正しいという仮定のもとで)ダメットの前提(3)を覆すことである。」
(1) 意味論の基礎
問い:
- [086]「車のある部品の役割が、その都度の操作に対して一定の方向にタイヤの向きを変えることだとしよう。
いったいどのような仕方で、その部品の役割が他でもないそれになっているのだろうか。
その部品の役割がまさにそれであるということを成立させていることはなんなのだろうか。」
- [087] 「スタルネイカーは、ある言語に対する問いとして、次の二つの問いを挙げている。一つは、その言語の各表現の意味論的値とは何か、という問いであり、もう一つは、その言語の各表現がその意味論的値をもつとはどのような仕方でか、という問いである。」
(2)メタ意味論の二つの課題
[088] スタルネイカーの2つの問い:
- 「意味論的値Jや「真理」などに関する「それらは一体どのような概念なのか」という問い
- 「ある表現が他でもないある値をその意味論的値としてもつということはどのような仕方で決まるのか」という問い
第4章 『論理学研究』における基礎意味論 121
- [121] 「前章までの結論はこうであった。ダメットに抗して,言語志向性に関してフッサールには(フレーゲに比して)参照すべき意義があると主張するためには,次の二つを示せば十分である。
(a)フッサールが実際に基礎意味論的考察から具体的な見解を体系的に展開しているということ、
(b)フレーゲはそうではないということ。
このうち前者を本章で,後者を次章で確認する。」
第5章 『論理学研究』と意味の神話 161
結語 241