『言葉と物』を例に。
- ここでいう「テーマあるいは理論」の例 [123]:
- 18世紀の文法における根源的言語
- 19世紀の文献学における、あらゆるインド=ヨーロッパ諸語のあいだの近縁関係に関する理論
- 18世紀における種の進化のテーマ
- 重農主義者たちにおける、農業生産から出発した富の流通の理論
- [123-124]
それらの形式的レヴェルがいかなるものであるかにかかわらず、便宜的に、それらのテーマおよびそれらの理論のことを「戦略」と呼ぶことにしよう。
p.124-125 は まるごと抜き書きした方がよいほど重要なことが書いてある。
- [124] 「言説形成を、その(諸対象、言表の諸様態、諸概念、理論的諸選択という)すべての次元に関して、それに固有の特徴にしたがって記述する」という目標を一つに定めても、分析困難な点が いろんな言説によって異なる。
- 『狂気の歴史』: 大きく錯綜した複雑な諸対象の集合がまるごと出現した(諸対象の形成)ことに照準。
- 『臨床医学の誕生』: 18世紀末-19世紀初頭に 医学的言説の言表行為の諸形態が変容したことに照準。→言説の主体の地位・その制度的場所・その立場・その統合様式が問題となった。
- 『言葉と物』: 諸概念のネットワークとそれらの形成の諸規則に照準。(戦略的選択については詳細には分析しなかった)
各節末でのまとめ
- VI [135]:諸対象の形成を言葉にも物にも関係づけてはならず、
諸々の言表行為の形成を認識の純粋形式にも心理学的主体にも関係づけてはならず、
諸概念の形成を理念性の構造にも思想の契機にも関係づけてはならなかったのとまったく同様に、理論的諸選択の形成を、根本的企図にも意見の副次的作用にも関係づけてはならない。