涜書:フーコー『知の考古学』:〈言説編成の四要素〉と〈言表の四機能〉:本編

Archaeology of Knowledge (Routledge Classics)知の考古学 (河出・現代の名著)
前エントリの続き:

[III-2での]言表の検討をとおして発見されたものは、

諸記号の総体を対象とし、文法的「受容可能性」とも論理的相関関係とも同一化されない
一つの機能であり、この機能は、行使operateされるために、次のさまざまなものを必要とする。すなわち、

  • a) 一つの関説性referential。(これはまったく一つの事実でも、事物の一状態でも、さらには一つの対象でもなく、差異化の一原理である。)
  • b) 一つの主体。(語る意識でも、定式的表現の作者でも決してなく、中性的な諸個人によって或る諸条件のもとに充たされうる、一つの位置である。)
  1. c) 共同の一領野。(それは、定式化の現実的な文脈でも、定式化されたものがそのなかで分節化した状況でもなく、他の諸言表に対する共存の一領域である。)
  2. d) 一つの物質性。(それは、ただ単に実体あるいは分節化の支えではたく、一つの規約、転写の諸規則、使用あるいは再使用の可能性である。)

ここまでが「前回までのあらすじ」。
次からが問題の箇所。

ところで、言説形成=編制の名のもとに記述されたもの、それは、厳密な意味における、諸言表のグループである。すなわち、

文法的(統辞論的、あるいは意味論的結合によって、〈文〉のレヴェルで相互に結びつけられていない
言語運用の諸総体である。[‥] それらは、〈言表〉のレヴェルにおいて、結びつけられている。
その結果、人々は

  • ・それらの諸対象が従属する一般的な支配体制や、
    ・人々の語るところを規則正しく配分する分散の形態、
    ・それらの関説性のシステム、などを明確化しうることになるし、
  • ・言表の相異なった様態が従属する一般的な支配体制、
    ・主体の位置の可能的な分配、
    ・それらを規定し、命ずるシステム、などを明確化することになる。

また、さらに、

  • ・それらのすべての共同の諸領域に共通な支配体制、
    ・それらのすべてが可能性をもっている継起、同時性、反復などの諸形態、
    ・これらすべての共存諸領.野を相互に結びつけるシステム、などを明確化することになる。

最後に、

  • ・これら諸言表の規約が服従する一般的規則、
    それらが制度化され、受けいれられ、使われ、再使用され、相互に組み合わせられている仕方、
    それらが所有の対象や、欲求や関心のための道具、一つの戦術のための要素、などになる様態、を明確化しうることになろう。

主張の確認:

  • ・言表を記述すること、
    ・それらが担う言表的機能を記述すること、
    ・この機能が行使される諸条件を分析すること、
    ・それが前提とする相異なった諸領域を経めぐること、
    ・およびそれらの諸領域が分節化する仕方、それは、
    言説形成=編制として個別化されうるものの解明を企てることにほかならない。

あるいはさらに、それは、逆の方向でだが、つまりは同じことをいうことになる。すなわち、

  • 言説形成=編制とは、一群の言語運用が従うところの一般的な言表のシステムである。

このシステムは、それを支配する唯一のものではない。というのは、それは、ほかにも、そして自己の他の次元に応じて、論理学的、言語学的、心理学的諸体系に従うからである。

「言説形=編制」として規定されたものは、言表の特殊的レヴェルで言われた諸事物の一般的平面を分解する。 そのなかで人々がそれを分析する四つの方向(対象の形成=編制、主体の位置の形成=編制、概念の形成、編制、戦術的選択の形成=編制は、言表機能が行使される四つの領域に対応する。[‥]
[III-3-B:p.175-7(英訳:p.129-130)]

で?
どこがどう対応しているというのか。