ニクラス・ルーマン(2000→2016)『社会の宗教』

2000年刊行の遺稿編纂物。

Die Religion der Gesellschaft

Die Religion der Gesellschaft

社会の宗教 (叢書・ウニベルシタス)

社会の宗教 (叢書・ウニベルシタス)

  • 第1章 宗教という意味形式
  • 第2章 コード化
  • 第3章 宗教の機能
  • 第4章 偶発性定式としての神
  • 第5章 宗教的コミュニケーションの分出
  • 第6章 宗教組織
  • 第7章 宗教の進化
  • 第8章 世俗化
  • 第9章 自己記述

第8章 世俗化

II

前近代的な宗教は、中心と周辺の分化に相関している。いやそれどころか当時の宗教は、宗教的中心の文出によって本質的に社会文化のこの形式の成立に貢献した。たしかに高度宗教は、その信者すべてに平等を想定しているかもしれない。すなわち、彼らはみな魂をもって生まれ、魂をもって死ぬので、死後の生と生前の生が誰しもに保証されているのであるという想定である。しかし、信仰を表明することとそれを証明することは、中心と周辺の差異に沿って著しく分化され、この差異それ自体が、宗教とそれ以外の社会との構造上のカップリングを形成する。しかもその際、このカップリングは、その機能において宗教的信仰のテーマではない。(324)

III

古い世界では、〈私的であること〉(privatus=inordinatus, privatio=negatio in subiecto)は排除カテゴリーの一つであったが、近代への移行において私性と個人性は融合し、この概念は(消費者、有権者、判断能力の主体などとして)社会的に注目されるようになる。(327)