あ…ありのままに今起こった事を話すぜ

さっき近所の児童館の幼児コーナーに初めて行ってみたんだ。
あまりにもこの通りだったので嗤ってしまったよ。

 私はチコを抱いて、公園の入り口から入っていった。大きな屋根付きベンチのまわりに、母親が5、6人かたまっているのがみえる。赤ん坊をおぶっている母親もいたし、おなかの大きな母親もいた。2、3歳くらいの子供たちは砂場に入り込んだり[...]していた。母親は、その子供たちを監視しながら、のんびりおしゃべりを楽しんでいるようだった。
 私はチコを抱いたまま、この母親たちに近づいていった。[...]
 「こんにちは」と言ったが、だれもこちらを見なかった。声が小さすぎたか。しばらくそばでじっとしていたが、だれも話しかけてくれない。まるで、彼女たちの目にも入っていないようである。
 [...]
 子供の一人がころんだと言って、ベンチの母親の元に駆けつけてきた。これを機にプツっと話がとぎれた。さあ、今だ。
 「きょうは、暑いですね」
 一番近くにいた母親におそるおそる声をかけた。今度はちゃんと声が出た。相手は、ニコニコしたおだやかそうな人だった。彼女も今度はちゃんと気づいて、「ねえ」とかなんとかあいまいな相づちを打った。しかし、それだけだった。
 「それでさあ、結局、点滴で産むってことになってえ」とまたさっきの話の続きに戻っていってしまったのである。私の方は、もう一顧だにしない。冷や汗がサーッと背中を伝った。どうも失敗したらしい。

本山ちさと『公園デビュー』(p.37-39)

広いプレイグラウンドに娘は大満足だったようだが、社交性のないママたち 闖入者に涙目。というかガン無視。
どうでもいいけど急に喋るのやめんな(苦笑。

本日の気づき

他人を怖がっている人たちは怖い。


待ってろお前らw 来週もまた行ってやるwww もう毎日行ってやるwwwwww 



追記

ブックマークコメントに「NECの太田さん」について引き合いに出されますが、この本にもこんなくだりがあるのでご紹介しときます:

 図書館で『男も育児休職』(新評論)という本をみつけた。
 この本は、電機メーカーのエンジニアである太田さんという人が、同じ職業の妻に代わって育児休暇をとり、その間の体験をまとめたもの。実話には違いないのだが、もし男が妊娠したら……というSF小説を読むような気分で読み進むうち、私は興奮してしまった。公園について書いてある箇所があったのである。
 作者は、家に閉じこもって赤ん坊の世話をしていると息が詰まってくるからというので、散歩に出かけ、母子でにぎわう公園を発見する。晴れた平日の昼時の公園がこんなことになっているなんて知らなかったと驚き、母親集団に圧倒されながらも、おずおず公園に入っていく。自分も育児の情報交換に加わってみたい気がする。予防注射のこと、近所の病院の評判……、聞いてみたいことはいくつかある。しばらく様子を見ていたが、結局だれも話しかけてくれなかった。彼は、その理由を自分が無精髭を生やしていたからということにしてあきらめている。
 [...]
 公園は「一見さんお断り」の世界。太田さんがたとえ無精髭を生やしていなくても、父親でなく母親であったとしても、はじめはだれも話しかけてくれないんですよ、と本の主人公に向かって心の中で話しかけていた。[p.136-137]

「もし男が妊娠したら……」ってなんだよ。 妊娠しなくても育児休暇はとれるだろJK。


ちなみにこの本、現在ではWEBで公開されています。

公園の話はこのあたりに: