ジャン・グレーシュ講演邦訳二本

メモ。
一昨年来日したときの講演が邦訳されております。http://www.l.u-tokyo.ac.jp/philosophy/news/profgreisch.html


ジャン・グレーシュは、これの著者のひと(訳者はお弟子さんのようでございますな)

『存在と時間』講義―統合的解釈の試み

『存在と時間』講義―統合的解釈の試み

存在と時間』については、

それぞれ理解に資する ──というのは ハイデガー読みの常識に属することだと思うのですが、

まぁ世の中には こういう常識の通用しないひともいるわけですけれども、

グレーシュのこの本は、『存在と時間』の各節について、関連するフライブルクマールブルク時代(28年まで)の講義を丁寧にバランスよく参照・紹介しながら解説を進めていて、たいへん勉強になるよい本だと思います。
訳も平易で読みやすいし、巻末の術語日独仏対照表も たいへん便利。お勧め。


ところで、この本↑にしても、(ちょっと旧いけど)ゲルヴェンの『ハイデッガー『存在と時間』註解 (ちくま学芸文庫)』にしても、こういう本を書くのがドイツ人ではない、というのはなかなか趣き深いことでございますな(知らないだけで──邦訳されてないだけで──存在するのかもしれない*けど)。

* ただし、グレーシュの本には、「類書」としては、ゲルヴェンのとドレイファスの『世界内存在―『存在と時間』における日常性の解釈学』(となんかもう一冊くらい)しか 挙がっていなかったとおもうので、やっぱりないのかもしれない。