遅ればせながら。ようやく読みはじめた。
- 作者: 佐藤健二
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2011/02/01
- メディア: 単行本
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http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/978-4-7885-1219-1.htm
■メモ
18章に、著者自身による一連の「質/量論争」へのコメンタリーに関する自家レジュメあり。
16 『社会調査ハンドブック』の方法史的解読
2003年。p.419
量的方法 | 質的方法 |
---|---|
多数の分布 固定した問い 相関係数 仮説検証 |
1ケースの凝視 自由な問い 意味的な連関 見出された意味 問題発見 |
フォーマル エクステンシブ 法則定立的 要素還元的 一方向的 表面的 連続的 数値的 科学的 確かだけれども面白くない etc... |
インフォーマル インテンシブ 個性記述的 全体連関的 対話的 深層的 カテゴリカル 言語的 職人(名人)芸的 面白いけれども確かでない etc... |
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17 「質的データ」論 再考
見田-安田による「質-量論争」の検討。安田の見解(1965年)。p.450-453
社会調査論の四つの意味
…
安田三郎は、戦後日本の社会調査論の論点整理の冒頭において、わが国ではとをともに「社会調査」と呼ぶ習慣が成立してしまった。そのため、「社会調査論」には四つほどの意味がかさなりあって使われていると指摘している。
- 「現地調査(を中軸とする一次的資料の収集」だけに限らず、分析作業までを含めて「社会調査」と呼んでいるのに加えて、
- 実際に行われた社会調査の内容と方法
安田の主張を私なりに整理しなおして並べかえれば、
- 第一は「調査動向論」で、社会科学的研究調査の「内容」に関する議論である。この意味での社会調査論は、内容の論評や評価が含まれ、広く実証的な諸研究のレビューにまで広がってゆく。
- 第二は「調査技術論」である。社会調査法のテクストに乗せられているサンプリング法や参与観察の説明など、諸技術のノウハウやその前提となる観察・収集をめぐる知識を指す。
- 第三の意味は「調査分析論」ともいうべき水準である。データ分析に関する議論に重点をおいたものであって、解釈を生み出すにあたって利用されているさまざまなデータの集約・加工・処理の方法と論理とを指す。
この三つに加えて、「社会調査論」の位相をとりわけ複雑にしている第四の意味が、「方法論」についての議論である。
以下どんでん返しが続きます。
「質的データ」としての実体化
p.458
…
実体論的な誤読のもとでは、研究者の「分析の方針の函数」という関係論的な規定性も、テクストの「存在形態それ自体の社会性の解読」という関係論的な規定性も、双方ともに見失われていく。データそれ自身に内在する社会性の方法論的基礎付けの問題であるはずが、「データ」の実態性に囲い込まれるなかで、基礎づけという実践がもつべき共有の土台作りの力能が低下して入ったのである。
その意味で、自由回答か選択肢か、インテンシブかエクステンシブかなどはすべて「研究者の研究方針にゆだねられている」のだから、「私はまず彼〔見田宗介〕がデータを所与のものとして、受動的にしか考察していない点に不満をもつ。社会学は社会調査によってデータを能動的に獲得する方法をもったのであって」という安田の批判は、その根本において逆立ちしている。「所与のもの」として考察することが「質的データ論」の構想した戦略であって、「所与」の相を積極的に考察する立場が成立しなくてはならないということが、その主張の中核に置かれているからである。
って そりゃいいんだけど。
でも、「所与の相を積極的に考察する」ことを徹底したら「単なるエスノメソドロジー」になってしまうので、たいていの社会学者には受け入れがたいことに……。