リントン・フリーマン(2004)『社会ネットワーク分析の発展』

パートのお仕事用。

  • 第01章 イントロダクション
  • 第02章 前史:社会ネットワークのアイディアと実践の起源
  • 第03章 社会ネットワーク分析の誕生1:ソシオメトリー
  • 第04章 社会ネットワーク分析の誕生2:ハーヴァードでの最初の躍進
  • 第05章 暗黒時代の社会ネットワーク分析1:1940年代
  • 第06章 暗黒時代の社会ネットワーク分析2:1950年代
  • 第07章 暗黒時代の社会ネットワーク分析3:1960年代
  • 第08章 ハーヴァードでのルネサンス
  • 第09章 組織化に向かって
  • 第10章 まとめといくつかの驚き

第03章「社会ネットワーク分析の誕生1:ソシオメトリー」

p.40

 しかしながら、現代の社会ネットワーク分析の要素の一つが、[モレノの]これらの二冊には欠落している。1932年と1934年の著作には、数学的あるいは計算的モデルがまったく含まれていない。モレノは(むしろジェニングスは)すぐにその欠点に気づき、コロンビア大学の傑出した数理社会学者であったポール・ラザースフェルドに助けを求めた。ラザースフェルドは、一定のランダムな選択のもとで、特定の個人が他の特定の個人に選択される確立を求めた。モレノとジェニングスは、ラザースフェルドのモデルを、新しい雑誌『ソシオメトリー』の第1巻第2号に掲載した(…)。ネーネヴァイザ(1956)によると、ラザースフェルドのモデルは、「この分野の確率的分析のおおもとになる」ものだという。
 1938年までに、ジェニングスとラザースフェルドの助力によって、モレノの研究は現代の社会ネットワーク分析を定義する4つすべての特長を備えるようになった。さらに彼らはそのアプローチの一般性にも気づいた。

第04章「社会ネットワーク分析の誕生2:ハーヴァードでの最初の躍進」

■チャールズ側を挟んだハーバードの2つの研究センター

  • 経営学大学院(Graduate School of Business Administration)
    •  
  • ソサイエティ・オブ・フェローズ(Society of Fellows)
    • ウォーナー、メイヨー、レスリスバーガー、ホワイトヘッドヘンダーソン
    • 学生:チャプル、アレンスバーグ、アリソン・デーヴィス、エリザベス・デーヴィス、ガードナー、ホーマンズ、ホワイト

■ハーバードにおける諸研究

ウォーナー「ヤンキー・シティ」研究
メイヨー「ホーソン工場」研究

p.51 ウォーナーからのアドバイスを受けたメイヨーのメモについて。

ハーヴァードの人類学部の代表は、その部署(電信室)の個々人に関する単純に心理学的な研究を行うことが論理的に不満足であることに注意を向けさせた。実験心理学や臨床心理学の研究は個人に関心がある。… しかしそれらは、人間にかかわる問いの周辺部にしか触れていない。(Mayo, 1933, p.116-117)

ウォーナーがウェスタン・エレクトリックのプロジェクトに入ったことにより、研究の焦点はメイヨーが行おうとした個人特性というきわめて心理学的なものから離れた。それに代わって、研究の焦点は社会構造となった。その結果現れたのが、銀行の配線室の労働者たちの相互行為のパターンのありかたに関する研究だった。研究の詳細は、レスリスバーガーとディクソンの著作『経営と労働者[…]』に記されている。

    • William J. Dickson & F. J. Roethlisberger, isbn:415279879:title
ウォーナー『ディープ・サウス』研究

第06章「暗黒時代の社会ネットワーク分析2:1950年代」

コロンビア大学の場合。p.98

ジンメル(…)を一行づつ読ませたのはマートンだった。ジンメルは、もちろん黎明期のネットワークのアイディアをもっていた。ラザースフェルドのパーソナルインフルエンスへの関心と マートンジンメルへの関心のコンビネーションこそが、私がその二つを合わせて 社会圏ネットワーク理論を構築するきっかけとなった。(チャールズ・カダシン)