1995年 日本社会学会大会会長講演。
- 吉田民人(1995)「ポスト分子生物学の社会科学:法則定立科学からプログラム解明科学へ」 日本社会学会 社会学評論 46(3)
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000226132
- A 法則と規則
- B 分子生物学の科学史・科学哲学的な解釈と評価
- C プログラム解明科学を基礎づける認識論的根拠
- D プログラム解明科学を基礎づける存在論的根拠
- E プログラム概念の定義
- F プログラム形態の進化
- G シグナル性プログラム科学とシンボル性プログラム科学
- H 法則とプログラム,をめぐる3つの解釈
- I シンボル性プログラムの諸類型
- J プログラム科学の 5 つの基本的課題
- K プログラム科学における法則の存否
- L 法則科学およびプログラム科学における文化的・歴史的要因の位置づけ
- M プログラム科学という自覚がもたらす、従来の科学論的言説への波及効果
- N 先行する類似の主張との比較対照
J
- 33】シグナル性かシンボル性かの別をとわず, プログラム解明科学は, つぎの 5つの課題を解決しなければならない。
- 第 1 に, プログラム「それ自体」の記述的・規範的解明,
- 第 2 に, プログラムの「作動 (発現ないし実現) 過程」の記述的・規範的解明,
- 第 3 に, プログラムの「作動 (発現ないし実現) 結果」 の記述的・規範的解明,
- 第 4 に, プログラムの「ライフサイクル」(生成・維持・変容・消滅)の記述的・規範的解明, そして
- 第 5 が, プログラムの「相互連関」の記述的・規範的解明である。
…
- 因みに, プログラムの作動過程の研究は,
- (1) プログラム作動を制御するプログラム,
- (2) 各種の「プログラム操作」, すなわちプログラムの選択,プログラムへの言及,プログラムの解釈, プログラムの確定化・具体化,複数のプログラムの合成と調整など,
- (3) プログラム作動の重要な前件的条件となる資源空間の状況, およびそれに関する認知情報, そして
- (4)資源の一つ (関係的資源) としての「社会的勢力, とりわけ権力の布置」等々の「状況的要因」の分析を不可避・不可欠の課題としている。
エスノメソドロジー学派がいうindexicality は, 主に, プログラム作動を規定するこれらの状況的要因を意味している。