哲学オンラインセミナー「形而上学は閉じられない——エスノメソドロジーで拓く精神医学の哲学」

哲学オンラインセミナー「形而上学は閉じられない——エスノメソドロジーで拓く精神医学の哲学」

  • 日時:2022年8月28日 14:00(JST)より
  • 登壇者
    • レクチャラー:後藤真理子(リサーチマップ)
    • レクチャラー:河村裕樹(リサーチマップ)
    • 司会:三浦隼暉(リサーチマップ)
  • プログラム:
    • 後藤真理子氏によるレクチャー(50分)
    • 河村裕樹氏によるレクチャー(50分)
    • 全体討論(60分)
概要

 こんにちは!精神医学の哲学とエスノメソドロジーを架橋的に扱う入門イベントを企画しました。今回は、お二人のレクチャラーの方をお招きしています。精神疾患存在論的身分について専門で研究されている後藤真理子さんには、社会構築主義の観点から概略的に精神医学の哲学についてレクチャーしていただきます。また、精神科医療機関でのフィールドワークで得られたデータを、エスノメソドロジーの方法論的態度において分析されている河村裕樹さんには、エスノメソドロジーという営みそれ自体や、それを通して精神医学の哲学を実践へ拓いていくことの可能性についてレクチャーしていただきます。各方面から精神医学の哲学に関わる方々、あるいは社会学の方面から精神医学に関わっている方々など、さまざまな方々のご参加をお待ちしてます!
 レクチャラーの一人である河村さんは先日『心の臨床実践——精神医療の社会学』(ナカニシヤ出版)を刊行されました。ご興味ある方は、ぜひ本イベントと合わせてチェックしてみてください!

後藤真理子氏のレクチャー内容

 本レクチャーでは、(精神疾患実在論を支持する主張についても言及するが)精神疾患に関する社会構築主義に焦点をあて、その概説を行う。A.Horwitz(2012)によれば、社会構築主義は大まかに3種類に分類することができる。すなわち、(1)純粋な構築主義(Pure Constructionism)、(2)相互作用的な社会構築(Interactive Social Construction)、(3)有害な機能不全(Harmful Dysfunction)である。本レクチャーでは、この中でも(2)相互作用的な社会構築に重点を置き、精神医学の哲学における社会構築主義の概略説明を行う予定である。

河村裕樹氏のレクチャー内容

 本レクチャーでは、精神医療のエスノメソドロジーについて紹介する。精神医学的概念は、その実在性と構築性をめぐって多様な学問領域で議論が交わされてきた。しかし精神医学的概念との向き合い方は、研究者だけでなく、精神医療に関わる人びとにとっての課題でもある。これらの議論や課題は、切り離されたものというよりは、相互に関わり合いながら成り立っているといえる。本レクチャーでは、人びとの実践における概念の論理文法を探求するエスノメソドロジーの考えや研究を紹介し、精神医学の哲学的議論を、人びとの実践へと拓いていく可能性について考えていく。

  • 主催:哲学オンラインセミナー
https://www.philosophyonline.net/



  • はじめに
第Ⅰ部
第Ⅱ部
  • 第4章 デイケアでの1日
  • 第5章 精神科デイケアにおける道徳的秩序の達成
  • 第6章 患者の要望と医師の説得技法
  • 第7章 「摂食障害者」であることの説明実践
  • 第8章 精神医学的診断と経験の再編成
  • 終章