識者の教示を乞う1:「分散」と「配分」?

  • II 言説の規則性
    • 1 言説の統一性
    • 2 言説の形成と編成
    • 3 対象の形成と編成
    • 4 言表の諸態様の形成と編成
    • 5 概念の形成と編成
    • 6 戦術の形成と編成
    • 7 注意事項と帰結

原著(英訳可)手元にあってすぐ参照できる人おしえて。
II の2に、「分散」と「配分」という語がでてきますが、この後者の原語はなんでしょう? distribution?

前者は索引に載ってるんだけど(dispersion)。


この箇所、フーコーが三つの著作を書いたときに、実際に資料にあたりながら経験した 記述領域の確定の失敗 を通して、つまり

    • 記述領域の確定に使われる、ふつうにひとがやる(4つ*の)ことは俺もふつうにやってはみたわけだが
    • (それぞれ)うまくいかなかったので
    • それではどうしましょう?

という仕方で、「考古学」という着想(あるいは記述領域として「言説」を選ぶ、ということ)に導かれる様子を「告白」しているところ。なので、おそらくこの本の中でも もっとも重要な場所のひとつだろうと思われる(特に、どういういみでうまくいかなかったのか、という、その中味が重要)。──なのだが、日本語がへんで解釈がユニークに決まらないんだよな。こまったもんだ。
とかいってねーで買うか。仕方ない。



* ちなみに、II の2であげた「記述対象を確定する(のにふつうに使われている)4つの方針」のそれぞれについて、一つずつ詳しくみていきましょう、というのが、そこに続く II の3以降の箇所。だから II の構成は、こうなってるわけですな。

  • 1 [まえおき・予備作業]言説の統一性
  • 2 [この章の本題]言説の形成と編成
    • 3 [方針その1]「対象」
    • 4 [方針その2]「言表の諸態様」
    • 5 [方針その3]「概念の体系」
    • 6 [方針その4]「テーマと戦術」
  • 7 [章のまとめ]注意事項と帰結

ふつう、記述領域を確定しようと思ったら、まずは

  • 「同じ対象に関連しているものを集める」
  • 「言表のスタイル・類型*にしたがって集める」
  • 「概念体系に即して集める」
  • 「同じテーマ**に関連していているものを集める」

などなどをたよりにするわけだけれども、それがどのようにうまくいかないか、をみていきましょう、と。

* 「態様」(なにこれ?mode?)という言葉がつかわれてるのはワケワカランですが、社会学でふつうに使われているボキャブラリの中に対応物を(無理矢理)探せば、「言表の諸態様」という概念にもっとも近いのは「役割」概念ではないかと思われ。
** 節のタイトルには「戦術」という語が使われているけど、これは「同じテーマにかかわるが-異なる戦術をもつ-言表たち」というかたちで登場するもの。
で、途中で話はひっくり返り、上記の「ふつうはそれに依拠するもの(旧来の4つの記述単位)」に依拠するのではなく、むしろ逆に、【言説(-と-言表-の-構成関係formation)の統一性】のほう*1を中心に据えて、あくまでそれとの関係において=いちいちをそこに差し戻すかたちで、旧来の記述単位のほうこそを吟味していきましょう、てな話になる、と。
この「いちいち差し戻せ」指令も、ルーマニ屋やエスノな方には おなじみのものでありますな。
もっとも、問題は「どこにどのように」差し戻すか、なんですが。「規則性」とか言われてもわかんねーよ。


つづき:[196912]

*1:それがなんであるかはともかくとしてw。

お買いもの:Michel Foucault, Archaeology of Knowledge

とりあえず英訳買う。

Archaeology of Knowledge (Routledge Classics)

Archaeology of Knowledge (Routledge Classics)

出版社違い。
The Archaeology of Knowledge: And the Discourse on Language

The Archaeology of Knowledge: And the Discourse on Language

分散:dispersion

といわれたら、コロイドをイメージすればよいようです。
http://www.sanseido.net
クラウン仏和

dispersion

  • 〈女〉
    • [1] 散らばる〔散らす〕こと.〜du peuple juif ユダヤ民族の四散.
    • [2] 気が散ること, 注意散慢.
    • [3] 〜de la lumire 光の分散.

グランドコンサイス

dispersion
━━ n.

  • 散乱, ばらつき, 散布;
  • 【物理】(光・電磁波の)分散, 消散, 伝播(ぱ);
  • エコロジー】分散;
  • 【化学】=disperse system;
  • 【軍事】(弾丸・爆弾の)弾着のばらつきパターン;
  • (the D-) ユダヤ人の離散 (Diaspora);
  • 【統計】ばらつき.
    • dispérsion fòrces  【物理・化学】分散力.
    • dispérsion mèdium  【化学】分散媒.

「【エコロジー】分散」ってなんだ???


グランドコンサイス和英

ぶんさん 分散 

  • 【統計・広告】 variance ;
  • 【生物】(個体の) dispersal ;
  • 【物理】(光・電磁波の) dispersion 


  • 分散系 【化学】 a disperse system
  • 分散コロイド 【化学】 a dispersion colloid
  • 分散剤 【化学】 dispersant ; a dispersingagent
  • 分散染料 【化学】 a disperse dye
  • 分散能 【光学】 dispersive power
  • 分散の尺度 【統計】 measure of dispersion


  • 分散処理 【コンピュータ】 distributed processing
  • 分散分析 【統計・社会】 analysis of variation [variance] ; variance analysis

スペースアルク

Kramers-Heisenberg's Dispersion equation クラマース・ハイゼンベルグの分散式

うおぉっ 懐かしいw。


便利そうなものがヒット:

☆散布 度:サン プ ド (dispersion) 第3-1型
散の音はサン、訓は‘ちる、ちらす、ちらかす(to scatter)’、‘ちらかる(to lie scattered)’である。布の音はフ(ここでは音便でプとなる)、訓は‘ぬの(cloth)’であるが、ここでは‘ひろげる(to extend, to scatter)’の意味で、散布は‘to scatter’を意味する第5-2型造語である。散布度は‘degree of scattering’をいう字義である。学術用語集ではこの語は採録せず、‘dispersion’の訳語としては‘ちらばり’をあげている。‘ちらばり’は直訳すれば‘scattering’である

トップページはここ:http://hosoi05.is.noda.sut.ac.jp/~hosoi/kanzi/html/Mokuji.htm

配分:répartition

コメント欄にてご教示いただきました。ありがとうございます。
とりあえずクラウン仏和http://www.sanseido.net

répartition〈女〉

  • [1] 分割, 配分.〜 des bénéfices 利益の分配.
  • [2] 割りふり, 割り当て; 分担.〜 de l'impôt 税金の割り当て.
  • [3] 分布; 分類.〜 géographique des animaux 動物の地理上の分布.

グランドコンサイス英和

re・partition 
━━ n. 分割, 分配; 再分割, 再分配.
━━ vt. 分割[分配]する; 再分割[再分配]する.

識者の教示を乞う2:the formal rules that govern it

識者じゃなくてもかまいません。

# hidex7777 『英訳<「知savoir」が”knowledge(savoir)”、「(科学的)知識connaissance」が”knowledge(connaissance)”ですね(笑)。
ちなみに「序論」p.27-8の「認識の歴史」の部分に英訳(the history of knowledge (connaissances))だと訳者注が付いていて、フーコーによるコメントが引用されています。ご参考↓

By connaissance I mean the relation of the subject to the object and the formal rules that govern it. Savoir refers to the conditions that are necessary in a particular period for this or that type of object to be given to connaissance and for this or that enunciation to be formulated.

ご教示スペシャルどうも。
これはどこからの引用なのかしら。
一文目の「the formal rules that govern it」の it は、何を指すんですかね。(subject なのか object なのか。「客体および客体を支配する法則(についての知識)」=〜「ふつうの科学の教科書に載っているような知識内容」ってことですか。)



【追記】20041102 17:30:16
it は the relation ではないか、という説が。(コメント欄参照。)

【追記】
考えてみました@お仕事中。
「formal」という言葉の意味がわからないので、どっちにしてもわからん、というのが暫定的結論ですが。

By connaissance I mean the relation of the subject to the object and the formal rules that govern it.

it = object と解すると:

  • I mean the relation of
    • <the subject> to <the object and the rules>
  • 「connaissance」という言葉で謂っているのは、
    • 主観と<対象>との関係のこと、そして
    • 主観と<対象を支配する形式的法則>との関係のこと、である。

この↑文章の意味は私にはわかりません*w。

* 「<モノを支配する形式的な法則>というのは、たとえば、熱力学の第2法則とか慣性の法則とかメンデルの優劣の法則とかのことですよ」とかと誰かにいわれたら、うっかり「そうですか」と頷いてしまうかもしれませんけど。(なにが「フォーマル」なのか。)
あと、「この文章は要するに、“ここでいう(科学的)知識というのは、モノと法則についての知識のことです”という意味なんだよ。」とかと誰かにいわれたら、うっかり「そうですか」と頷いてしまうかもしれませんが。


it = the relation だと:

  • I mean
    • <the relation (of the subject to the object)> and <the formal rules>
  • 「connaissance」という言葉で謂っているのは、
    • <主体と客体との関係>のこと、そして
    • <主体と客体との関係を支配する formal rules**>のこと、である。

ですか。ていうか「主体と客体との関係を支配するフォーマルルール」てなに...。


いずれにしてもわからんですなぁ。

** 「公式のルール」とかいわないですよね...♥


ともかくも。
どっちみち「savoir と connaissance」の違いは、英訳では(単語の違いでは)表現されてない、というまとめでいいですか?

涜書:フーコー『知の考古学』

俺がものすごい勢いでフーコーを再読するスレasin:4309706118
昼食。

  • II 言説の規則性
    • 1 言説の統一性
    • 2 言説の形成と編成
    • 3 対象の形成と編成
    • 4 言表の諸態様の形成と編成
    • 5 概念の形成と編成
    • 6 戦術の形成と編成
    • 7 注意事項と帰結