IV 法における正義の位置

p.259-260

  • 「先例を指向する」という法システムの傾向が、正義という偶発性定式によって修正される。
    • 実定法は、決定が打倒する根拠を決定によって変更する。
    • 正義は、これに対する追加的な(オープンな決定状況を新たに作り出すための)修正装置である: それは、すでに過去となったものによってもたらされた具体的な事案に直面した場合に、──そのつど新たに下さなければならない決定に関する「等しい/等しくない」という観点にもとづく比較によって──古い事例の力を逸らせる。
    • そのやり方には 次のようなものがある:
      • 立法者や契約締結者の意図(法の起草者の意思)を吟味してみること。
      • 回顧的に、あるいは未来を先取りするかたちで決定を比較してみること。

 正義を以上のように理解すれば、正義の焦点は もっぱらセカンド・オーダーの観察のモードのうちにある、ということになるはずだ。そう考えてこそ、次のようにいうことが意味を持ちうるのである。すなわち、

  • 正義は、裁判のために考案された観察図式であり、立法府は この図式に、常に新たな吟味の素材を提供するのである

と。