涜書:山口節郎『現代社会のゆらぎとリスク』

大先生の本を発見。廃棄していなかったことが判明。
2002年の刊行。

現代社会のゆらぎとリスク

現代社会のゆらぎとリスク

  • まえがき
  • 第1章 現代社会と新しい不平等 [1990]
  • 第2章 福祉国家のトリレンマ──システム理論の応用的見地から [1994]
  • 第3章 支配の正当性──手続きからかユートピアからか [1995]
  • 第4章 リスクの社会学 [書き下ろし]

第4章 リスクの社会学

  • 一 序「リスク社会学」の登場
  • 二 U.ベックの「リスク社会」論
    • 1 二段階の近代
    • 2 三重の「ない」(nicht)
    • 3 組織化された無責任
  • 三 「リスク社会論」から「リスク社会学」へ
    • 1 「システム・カテゴリー」としてのリスク
      • (1) 観察の盲点
      • (2) 「システム・カテゴリー」としてのリスク
      • (3) 安全は安全に非ず
    • 2 「リスク/安全」から「リスク/危険」へ
      • (1) 「リスク/安全」から「リスク/危険」へ
      • (2) 同一物は異なる
  • 四 可能なシナリオ
    • 1 構成主義と実践問題
    • 2 リスクへの対応をめぐって
      • (1) 提言1 相互了解
      • (2) 提言2 ゼロ・オプション
      • (3) 提言3 社会制御
      • (4) 2.5人称の視点
グリッド-グループ モデル

3-(2)「文化理論のリスク構成主義」。p.198

  • 個人が社会生活にどのように関与するか──逆に言えば、個人に対する社会的コントロールがどのような形をとるか──は、社会性(sociality)の二つの次元の組み合わせによって決定される、という。「グループ」と「グリッド」がそれである。
    • 「グループ」は境界によって外部と仕切られた集団のなかへ個人が組み込まれる度合いのことを意味しており、このお包摂の度合いが大きければ大きいほど、個人の選択は集団の決定により従属させられることになる。一方、
    • 「グリッド」というのは、デュルケームのいう「規制」(regulation)に相当し、個人の生活が周りから課せられるルールによって規制される度合いのことをいう。この規制が及ぶ範囲が広く、また強いほど、個人の自律性は制限され、他者との交渉によって自らの生活を切り開いていくチャンスも少なくなる。

 文化理論によれば、この二つの次元を組み合わせると4つの社会関係(生活様式)が出来上がり、それぞれに対応してそれらを正当化するイデオロギーとしての「文化バイアス」が形成され、このバイアスがそれぞれの生活様式に固有のリスクを構成する(選択させる)。

グループ(-)グループ(+)
グリッド(+)宿命論階統制
グリッド(−)個人主義平等主義