通勤読書。シリーズ『啓蒙とは何か』。
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これははもう漢の入門書と言ってよいのではないか。なにしろ特定の人たちを取り上げてその主張を紹介するページが全くないんである。この主題でこんなことしたら文句が出るのは目に見えているわけなので、余程の見識と自信がないと(もしくは余程の大先生でないと)不可能な所業であろう。ともかくも、そうした刈り込みのおかげで導入のための良書になっているように思う。
ただし、そういう事情なので、「啓蒙主義思想」の本を期待してしまうと、読後の充実感は薄いでしょうな。
訳者による日本語文献案内もすばらしい。既読のものもあるけど、いくつかピックアップしておく。
- 高橋安光 旅・戦争・サロン―啓蒙思潮の底流と源泉
- ダーントン 革命前夜の地下出版 (岩波モダンクラシックス)
- シャルチエ フランス革命の文化的起源 (NEW HISTORY)
- 小林義彦 誇り高き市民―ルソーになったジャン=ジャック
- スタロバンスキー ルソー 透明と障害
- 水林 章 幸福への意志、幸福への意志―「文明化」のエクリチュール
- 赤木昭三・赤木富美子 サロンの思想史―デカルトから啓蒙思想へ
- 森村敏己 名誉と快楽―エルヴェシウスの功利主義
- 杉山忠平 理性と革命の時代に生きて―J.プリーストリ伝 (1974年)
- 高山 宏 新編 黒に染める―本朝ピクチャレスク事始め
- 岡崎勝世 聖書vs.世界史 キリスト教的歴史観とは何か (講談社現代新書)