第1章「小集団研究の回顧」

1-1 小集団研究の意義

p.3 ベイルズとホーマンズそれぞれによる定義。

  • Bales 1950
    小集団とは、「単一のあるいは継続して持たれる対面的集会において、相互に作用しあっている人々のことであって、その際、集団の各成員は他の成員一人一人についてかなり明瞭な印象ないし知覚を得ており、その場であるいはその後質問を受けたとき、それら一人一人についてなんらかの反応をなしうるほどものをいう。」
  • Homans 1950
    グループとは、「しばしば一定期間以上にわたって、たがいにコミュニケーションを取り交わしている一群の人々であり、互いに他の全員に対して、間接ではなく、直接にコミュニケートしうるだけの少数のものをいう。」

1-2 2 小集団研究の確立期

  • (1) ホーソン実験[メイヨー]: 1924年から@シカゴ近郊のウェスタン・エレクトリック社ホーソン工場。
    • 照明実験
    • 継電組立実験: 1927年から。
    • 面接実験: 二年間に二万一千名の面接。→「能率の論理」に基づくフォーマルな組織/「感情の論理」に基づくインフォーマルな組織
  • (2) ソシオメトリー[ヤコブ・L・モレノ(Jacob Levy Moreno)]: 
ブカレスト生まれウィーン育ち。サイコドラマ、ソシオメトリー、集団療法。1925年アメリカ移住。「コロンビア大学にポストを得て、ニュースクール・フォー・ザ・ソーシャルリサーチでも教えた」
  • (3) グループ・ダイナミクス[レヴィン]: モレノの示唆を受けて小集団の実験を開始。
    • リーダーシップの型に関する実験: 集団の生産性、成員の満足度、集団の団結度をあげるには どのようなリーダーシップが望ましいのか
    • 食習慣の変革に関する実験: 個人の態度を変容させるには、個人的方法と集団的方法のどちらがふさわしいのか

1-3 小集団研究の発展期

  • (1) 戦後のブーム

p.20 の表から作図。(データは、ヘアー、ボーガッタ、ベールズ編(1955)『小集団』の巻末文献目録から青井が整理したもの)

  • (2) 小集団研究に対する関心
    • 抽象的な一般理論の構築を目指すもの(パーソンズ&ベールズの社会体系論)
    • 従来の成果の経験的総合を行おうとするもの(グループダイナミクス、ホーマンズの集団理論)
    • 各種のモデルを作ろうとするもの(サイモン、コールマン、ハイダーのバランス理論、カートライトのグラフ理論
    • 実験に好都合な場として小集団に狙いを定めるもの(モレノのソシオメトリー、ベールズの相互作用過程分析、バーベラスのコミュニケーション・チャネル分析)
    • 個人の意見や態度を変容させる場としての小集団に関心をもつもの(クーリーの一次集団論、レヴィンの集団決定理論、モレノの集団治療研究)
    • 集団の生産性や士気を高める手段として小集団の研究に志向するもの(メイヨーのホーソン実験、ストゥーファーのアメリカ兵士研究)
    • 番外:
  • (3) 1950年代の小集団研究
    • リーダーシップ研究: Ntional Training Laboratory in Group Development: NTL
    • 集団における影響過程と同調性の研究: シェリフ、アッシュ
    • 準拠集団研究: ハイマンによる〈所属集団/準拠集団〉の区別。シェリフ、ニューカムマートン
    • 相互作用過程分析: ベールズの12カテゴリー。
    • 集団内コミュニケーション過程と斉一性圧力の分析: フェスティンガー
    • 集団内コミュニケーション・チャネルの構造と効果: バーベラスとリーヴィット
    • 社会的権力の研究: カートライト