The Five Books:カント(1785)『人倫の形而上学の基礎づけ』読書会

The Five Books:『人倫の形而上学の基礎づけ』読書会(講師 : 八木 緑)

第1回 (2024年3月4日 20:00-21:30)の内容:

イントロダクション:カントの生涯や主要な著作とその内容、エピソードや哲学史における位置づけなどを簡単に紹介します。その後、『基礎づけ』という著作について、他の哲学者からカントが受けた影響や、その後の反響といった観点から概要を述べます。初回は本文の内容にはあまり立ち入らず、目次を見ながら全体の構成を確認し、そして序言の最初の数段落を読んで『人倫の形而上学の基礎づけ』というタイトルの意味を考えます。

第2回 (2024年3月11日 20:00-21:30)の内容:

序言と第一章「通常の道徳的理性認識から哲学的な道徳的理性認識への移り行き」:まずは序言を通して、この著作におけるカントの狙いを共有します。『基礎づけ』は人間の行為とその善悪をテーマとしていますが、カントが目指す道徳哲学はかなり独特とも言えるものです。そして次に第一章を読みます。ここでカントは「常識」のレベルから「哲学」のレベルへと議論の場を移します。カントの道徳哲学の「独特さ」の理由が、この第一章からある程度見えてくるはずです。

第3回 (2024年3月18日 20:00-21:30)の内容:

第二章「通俗的道徳哲学から人倫の形而上学への移り行き」前半:『基礎づけ』の中心部分に入っていきます。カントは「義務」を道徳の原理として重視しますが、それは「(〜す)べし」という表現をもたねばならないと言います。しかもその「べし」は、「〜ならば」という条件を前提としてはいけないとカントは強調します。これが有名な「定言(的)命法」の考え方です。第二章の前半を読み、カントの義務理論の要点を掴んでいきます。

第4回 (2024年3月25日 20:00-21:30)の内容:

第二章「通俗的道徳哲学から人倫の形而上学への移り行き」後半:これまでの箇所では、カントの議論において道徳法則の「普遍性」が鍵となるということを見てきました。第二章の後半では、さらに「目的」と「自律」というキーワードが登場します。「ただひとつ」の形しかないと言われていた定言的命法ですが、別の公式化もできることが示唆されます。

第5回 (2024年4月1日 20:00-21:30)の内容:

第三章「人倫の形而上学から純粋実践理性批判への移り行き」:第二章では、「義務」という言葉から私たちが通常想像するようなものとはまったく異なる発想が「自律」という概念によって示されました。続く第三章は「自由の概念は意志の自律の説明のための鍵である」と題された節から始まります。この節題が示す通り、自律的な行為を論ずるには自由の概念が不可欠です。カントが自由の論証に挑む最終章は、『基礎づけ』の中で最も分かりにくい箇所かもしれません。講義では必要に応じて『純粋理性批判』や『実践理性批判』からも引用しながら、自由がカントの道徳哲学にとってきわめて重要な概念であることを確認します。

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