5.「個人の個性―歴史的意味および今日的諸問題」

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1984年2月18-20日スタンフォード大で行われたカンファレンスでの報告。

報告集(=書籍)は1986年に出版されている。イアン・ハッキング「人々を作り上げる Making Up People」のほか、クリフォード、ヌスバウム、ギリガンやカヴェルの論文も収録されている。
なお1984年は『社会的システムたち』の刊行年。

I 088-090

  • 個性に関する理論を通覧するには少なくとも200年は遡らねばならない。
  • ここで社会学理論はあまり役に立たない。
  • 社会学の個性理論には二つの潮流がある:デュルケーム 版とジンメル・ミード版である。
    • 前者においては、歴史は個人主義の拡大過程である。
    • 後者においては、創発的単位である。

II 090-100

  • スコラ
  • 17世紀の信仰運動
  • 18世紀:homme amiable、社交的人間
    • 自然と社交性の再評価
      • 094 所有の道:〈自然/文明〉
      • 095 芸術の道:天才、趣味
        主体としての個人
  • 097 個人主義1820年代つくられた言葉

097 社会理論への復帰

  • 098 社会構造上の変化とゼマンティク上の変化の照応
    • 098 「第一に」 救済への道の私事化→宗教の分化
      • 099 機能分化と「主体としての個人」:「超越論的主体の世界超出的地位は、経験的個人の機能的諸サブシステムのひとつのシステムとの関係における新たな地位上のシンボルである、と私は解釈する。個人は、それらサブシステムの特定のいずれにも帰属するのではなく、それらの相互依存関係に依存しているのである。しかしそれは良きシンボルであるだろうか。それは機能分化の適切なゼマンティク的相関物であるだろうか。その伝統的内包、その誇張、その内面的なもっともらしさ、そのイデオロギー的、政治的、そして動機づけるうえでのフィードバックはどうであろうか。」
III 100-111
  • 101 「われわれは主体に、そのふさわしい継承者、この問題に関しても現代社会の社会構造との関連においても適切な継承者を見つけることによって敬意を払うべきである。」
      • 101-105に渡ってオートポイエティック・システム論の紹介
  • 105 「いまのところでは、これが十分に理解されることはないかもしれない。しかし、このメッセージを手にしたものは誰であれ、すくなくとも個人の個性をオートポイエーシスとして定義する可能性を見出すであろう。このことは、先に論じておいた後期スコラ的な位置にわれわれを連れ戻す。」
    • ‪106‬ 「オートポイエティック・システムの理論は、人間に関する人間学的概念に回帰するすべての道を閉ざしてしまう。」‬