涜書:上谷「ドロシー・スミスの「フェミニスト社会学」」

夜食前半。

性のプリズム―解放された知を求めて

性のプリズム―解放された知を求めて

激むずい。途中で完璧に振り落とされた。

ところで下記上谷論考の一頁目にこの↑邦訳の存在が記してあった(のを見落としていた)わけで。


夜食中盤。上谷博論再訪。

  • 上谷香陽、「ドロシー・スミスの「フェミニスト社会学」──性別の捉え方・論じ方の形式をめぐって」(2004:博士論文)
  • 序章
  • 第1章:ドロシー・スミスの社会学の輪郭
    • 1 はじめに
    • 2 伝記的背景
    • 3 ドロシー・スミスの研究の概要
    • 4 「女性の観点(women's standpoint)」をめぐるドロシー・スミスの解釈再考
      • 4-1 「フェミニスト観念の理論」──S・ハーディングによる位置づけ
      • 4-2 批判的論点
      • 4-3 スミスによる応答、その含意の検討に向けて
    • 5 スミスの議論の社会学的文脈
    • 6 おわりに
  • 第2章 性別に関わる諸現象の偶有性と秩序性──C・ウェストらによる "doing gender" の議論を中心として──
    • 1 はじめに
    • 2 "doing gender" としてのジェンダー
      • 2-1 性別(dex differences)と性役割(sex roles)再考
      • 2-2 セックス/セックス・カテゴリー/ジェンダー
      • 2-3 女性の差異をめぐる相互行為論的アプローチ
      • 2-4 残された課題
    • 3 エスノメソドロジーと会話分析
      • 3-1 社会秩序の偶有的な達成
      • 3-2 文脈から独立し、文脈に敏感な「装置」
    • 4 相互行為の組織化における性別現象
    • 5 相互行為に置ける性別カテゴリーの適切性
    • 6 相互行為の組織化と場面の組織化
    • 7 おわりに
  • 第3章 「女性の経験」をめぐるドロシー・スミスの問題設定について──「知識の社会的組織化」をめぐって──
    • 1 はじめに
    • 2 スミスの議論の背景
    • 3 二つの「経験」の社会関係
      • 3-1 「テクスト」作成過程への注目
      • 3-2 二つの「経験」の社会関係
    • 4 別の「論理」の提示
    • 5 「女性の経験」の成立の仕方
    • 6 おわりに
  • 第4章 社会学の対象としての「女性の日常世界」について──「テクスト」における社会的事実の組織化──
    • 1 はじめに
    • 2 プロブレマティークとしての
    • 3 説明の対象としての「日常世界」
    • 4 「日常世界」をめぐる社会学的問題の所在
    • 5 おわりに
  • 第5章 ドロシー・スミスにおける概念観について
    • 1 「事実報告」をめぐる問いの所在
      • 1-1 「事実報告」という現象
      • 1-2 「テクスト」の物質性と「出来事」の所与性
      • 1-3 「事実報告」に埋め込まれた二項対立的分類の布置関係
      • 1-4 「事実報告」を成立させる論理
      • 1-5 元後・概念と記述をめぐる論点の転換
      • 1-6 「概念実践」の社会学的探究に向けて
    • 2 分析概念をめぐって
    • 3 問題発見的概念をめぐって
  • 第6章 言語・概念使用における実践活動の組織化をめぐって──「Kは精神病だ」再考──
    • 1 はじめに
    • 2 出来事としての「テクスト」/「テクスト」としての出来事
    • 3 「不可解な事象」の産出
    • 4 別の図-地関係の可能性
    • 5 出来事の組織化に埋め込まれた性別
  • 終章

2章まで。
スミスの議論に立ち入る(3章以降)前に、2章でウェストらの議論を検討し、それに対するシェグロフの(非常に強力な)批判を踏まえた上でなお、──シェグロフ自身はやろうとしない──性別現象を相互行為の組織化のなかでとらえる研究にたちかえるやりかたを示唆しつつ 次章以降の議論へつなげるあたり[2章6&7]が非常に面白かった。
この議論の──非常に大きい──射程について、またほぼ同型の議論構成をとっている筈のルーマニ屋が、にもかかわらずほとんど議論もせずに済ませているあまりにも多くの論点について、意気消沈しつつあれこれ考えたあげく陰鬱な気分に浸ってみるテスト。