再訪。読み返してみるといろいろと親切な本である。
- 作者: G.H.フォン・ウリクト,丸山高司,木岡伸夫
- 出版社/メーカー: 産業図書
- 発売日: 1984/05
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- 二つの伝統
- 因果性と因果的説明
- 志向性と目的論的説明
- 歴史学と社会科学の説明
1で〈実証主義/解釈学〉という対立軸を設定し、2と3でそれぞれについて解説し、4で議論をまとめる。
ウィトゲンシュタインの弟子である著者自身は、「解釈学とウィトゲンシュタインは共通の課題に取り組んでいた」という見立てのうえで、自らを「解釈学」側に位置づけている。
本書では〈説明/記述〉〈因果性/志向性〉〈法則定立/個性記述〉などの対照的カテゴリーが取り出され・解説されているが、こうした対立そのものは、今日の議論水準からいえば あまり興味をひくものとはいえない*。むしろ──本書では積極的な主題となってはいないが──、「合理性」のような一つの同じ概念を巡る(明示的になってはいない)対立をクリアにすることのほうが、今日では重要かもしれない。
* それでも「原因-結果」という概念に関しては、ヒュームが分水嶺になっている、という指摘などは面白かった。