1966年と1980年の著作。
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右の本。
第3章 理論と観察
第4章 隠喩の説明上の機能
初出は1965年。『科学におけるモデルとアナロジー』と同時期。
p.171 基本テーゼ:
科学的説明についての演繹モデルは、理論的説明を 被説明項の領域の 隠喩的な再記述とみる見解によって修正を受けるとともに補われるべきである。
問題二つ。
- 演繹モデルは はたして修正を必要とするのかどうか
- 演繹モデルの代わりとなるべき見解では、どのような隠喩の見方が前提とされているのか
隠喩の相互作用説
- 一次体系: 観察言語で記述しうる被説明高の領域
- 二次体系: 観察言語+(モデルをつくる際の基礎となるよく知られた)理論の言語によって記述される体系
- 〈一次体系/二次体系〉は、どちらも記述的言明の指示対象。
- 「隠喩」「モデル」「理論」「説明項/被説明項」などは言語的存在
- 人は狼である。
- 地獄は氷の湖だ。
- 音(一次体系)は波動(二次体系からとってきた)だ
- 気体はランダムに運動している質量をもった粒子からなる。
隠喩的指示の問題
この項 要再考。
- 問い1: モデルや隠喩の指示対象はなにか。 / 答え: 一次体系である。
- →問い2: 隠喩表現やモデルの指示対象を一次体系と同定するとはいかなることなのか
隠喩的再記述としての説明
科学的説明項となるための伝統的な[〜ヘンペル的な]演繹的基準は、
- 被説明項が それから演繹されうること
- その演繹にたいして余剰なものをもたない一般法則少なくとも一つ含むこと、そして
- それが今日まで経験的に反証されておらず、予測に役立つものであること
を要請する。[p.183]
これに対する既存の反論:
- 厳密にいえば 科学的説明項と被説明項との間には 演繹関係が事実上存在するわけではなく、近似的適合という関係が成り立つにすぎない。
- 充分に近似的に適合しているとみなされるものでも演繹によって決定されえず、理論体系の残りの部分との整合性や、被説明項全域での経験的・一般的受容可能性および他の多くの因子からなる複雑な関数となっている。[p183]
- [これ↑に対して]対応規則が介在することを理由にあげて反論がなされるが、仮に通常なされるように演繹的説明が、解釈抜きの計算法と観察言語か理論言語と観察言語という二つの異なる言語のいずれかに基づいて推し進められたとすれば、これらの言語の用語を連結している対応規則は、説明項だけからは演繹的に導出することが出来ない [p.185]