社会学研究互助会:小宮友根『実践の中のジェンダー』合評会2

参加者募集は締めきりました。

非EM者に エスノメソドロジー研究を検討していただくことを趣旨とした 社会学研究互助会の五回目。


小宮本合評会の二回目です。一回目は昨年三月、加藤秀一さんと中里見 博さんをお招きして行いました。
二回目も基本的な趣旨はかわりませんが、今回は法哲学のお二人を評者にお招きして、特に「法現象」に関わる話題に焦点をあわせたディスカッションができれば、と考えています。

前回の趣旨文抜粋:
 本書は、「フェミニズムの擁護」を掲げたコントロバーシャルな著作です。
 他方でまた本書は、著者が、フェミニズム社会学を学ぶ中でエスノメソドロジーと出会い、そこから経験的な研究へと足を一歩踏み出したところで終わっている、半ばプログラム的・「中間報告」的な性格をもった本でもあります。

 前者の点からすれば、この企画としても、合評会の場が論争的なものとなるであろう評者──たとえば「リベラリズム」を奉じるような論者──を選択することが、まずは考えられました。とはいえ著者はおそらく、今後おのずと様々な論争的な土俵へと足を踏み入れていくことになるでしょうし、今回の合評会ではむしろ、後者の側面に焦点をあわせることを 主催者としては考えました。すなわち、この合評会では、この中間報告的な書籍について、
  • この仕事にどのような意義があるのか。
  • 掲げた目標のうちどこまではできているのか。修正すべき点はどこか。
といった点について、現時点での査定をおこなう場を設けることを狙いたいと思います。

社会学研究互助会(第3期)第五回研究会 小宮友根『実践の中のジェンダー』合評会2

実践の中のジェンダー?法システムの社会学的記述

実践の中のジェンダー?法システムの社会学的記述


■参加希望者は 主催者宛てに 下記4点を記したメールをお送りください。

  • 1)氏名
  • 2)所属と専攻(あるいは関心)
  • 3)自己紹介
  • 4)懇親会参加希望の有無

※件名は「『実践の中のジェンダー』合評会参加希望」としてください。

著者・評者紹介

毛利 康俊さん(西南学院大学法学部教員、法哲学

私は、とくに法概念論のなかの法秩序論に関心を持っています。ルーマンの社会理論が法秩序の分析に使えそうだという予感のもとに、いくつか論文を書いてきました。そこで採用したのは、具体的現象を複数システムの重合として分析するという方法です。この方向でさらに分析を進めるためには、作動と観察の区別と連関を明らかにすることとか意味論研究とかが必要だと(今ごろ?)思いいたりました。

  • 論文
    • 「法的実践と理性の社会的条件−N.ルーマンの法的議論理論批判を契機に−(1)(2)・完」法学論叢143巻3号同144巻6号、1998-1999
    • 生命倫理の法政策論 ルーマン派システム論のアプローチ・序説」西南学院大学法学論集36巻第3・4号、2004
    • 「リスク社会における科学評価のための法制度設計をめぐって−ルーマン派システム論アプローチの新展開とその周辺」西南学院大学法学論集第38巻第3・4合併号、2006
    • 「法的コミュニケーション ― ルーマン派システム論から見た現代分析法理学」亀本洋ほか編著『現代法の変容』有斐閣所収、2013.2
池田 弘乃さん (東京大学グローバルCOE特任研究員、法哲学

専攻は法哲学です。主たる関心分野はフェミニズム法理論です。特に法概念論にとってフェミニズム法理論がどのようなインパクトをもつのかについて関心をもっております。

  • 最近の業績(論文):
    • 「Brave New Equality? (書評)キャサリン・マッキノン『女の生、男の法』」、『論叢クィア』5号、133-144頁、2012年9月。
    • 「同性間のセクシュアル・ハラスメント ─ニコル他対アステカ社」〔判例評釈〕、谷口洋幸・齊藤笑美子・大島梨沙編『性的マイノリティ判例解説』信山社, 134-138頁、2011年12月.
    • 「ケア(資源)の分配 ──ケアを「はかる」ということ」、齋藤純一編『政治の発見 第3巻 支える ―連帯と再分配の政治学』風行社、260-295頁、2011年1月.
小宮 友根(日本学術振興会特別研究員(PD)/社会学
  • 自己紹介

専門はエスノメソドロジー/会話分析。私たち人間が「性別をもつ」存在であることの社会現象としての側面と、そこで生まれている「不平等」について考察するために、人々の実践をていねいに記述することが役に立つと考えています。『実践の中のジェンダー――法システムの社会学的記述』(2011年、新曜社)は現在の立場にたどりつくまでに考えてきたことをまとめたものです。もともと法哲学的主題に関心があったこともあり、法とジェンダーの問題が重なる領域が研究の主たる焦点になっています。現在は模擬裁判の相互行為分析に着手しています。

  • 最近の論文
    • 小宮友根,2012,「評議における裁判員の意見表明――順番交替上の『位置』に注目して」『法社会学』77号.