参加者募集は締めきりました。社会学研究互助会の第六回は、鶴田幸恵『性同一性障害のエスノグラフィ』が対象です。
本書『性同一性障害のエスノグラフィ』は、主題に関心のある方を中心に広く読まれ刷を重ねている、社会学書としては幸運な本だと言えるでしょう。
※書評もいくつか出ています:
- 杉浦郁子「書評 鶴田幸恵著『性同一性障害のエスノグラフィ--性現象の社会学』」、『社会学評論』61(3),2010,pp.257-259
- 長塚智子「『ふつうの外見』や『正当性の獲符』をめぐる実践がもたらすもの」 ─ 書評 鶴田幸恵著『性同一性障害のエスノグラフィ--性現象の社会学』」、『論叢クィア』第3号,2010,pp.174-183
- 伊藤智樹「医療化とカテゴリー、アイデンティティ」、書評空間 KINOKUNIYA BOOKLOG(2010年07月30日)
こうした事情を受けて、企画者としては、今回の合評会では もうひとつ抽象水準を上げて、本書が、
- [1] 性現象についての
- [2] インタビューという手段を用いた
社会学的・エスノメソドロジー的研究であることに照準した検討を行いたいと考え、社会学専攻のお二人(山根純佳さん、浦野 茂さん)に評者をお願いした次第です。
お二人の報告を踏まえて、フロアの皆さんと時間をとったディスカッションができれば、と考えています。
なお、すでに著者の鶴田さんには、この合評会のために自著解説を書いていただいています。併せて ご覧ください:
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社会学研究互助会(第3期)第六回研究会 鶴田幸恵『性同一性障害のエスノグラフィ―』合評会
※参加希望者は 主催者
宛てに 下記4点を記したメールをお送りください。
- 1)氏名
- 2)所属と専攻(あるいは関心)
- 3)自己紹介
- 4)懇親会参加希望の有無
※件名は「『性同一性障害のエスノグラフィ―』合評会参加希望」としてください。
フェミニズムの視点から「私(依存,ケア)/公(自立)」とする公私の分離の問題点を考察し,どのような公私の再編のあり方が望ましいのか規範的な探求をおこなっています.最近は,ケアの受け手,与え手双方の自律性を担保する社会的,制度的条件について,ケア労働者への調査研究などをとおして考察しています
- 著書
- 山根純佳『産む産まないは女の権利か──フェミニズムとリベラリズム』 勁草書房 2004
- 山根純佳『なぜ女性はケア労働するのか──性別分業の再生産を超えて』勁草書房 2010
- 山根純佳「ケア労働の分業と階層性の再編──「『関係的ケア』から周辺化される労働」仁平典宏・山下順子編『労働再審5 ケア・協働・アンペイドワーク』大月書店, 103-126頁 2011
- 論文
科学や医学などの専門的知識と日常的な知識の接点における実践や経験について、それらを成立させている概念的前提を記述していくことに関心を持っています。これまでは文化および人種についてこのような作業を行ってきました。現在では同じ作業を発達障害について行っているところです。
- 主な論文
- 浦野 茂, 2005「社会学と記憶――W. I. トマス・「社会理論」・移民の記憶」『社会学評論』56(3), 727-744.
- 浦野 茂, 2009「類型から集団へ――人種をめぐる社会と科学」酒井泰斗・浦野 茂・前田泰樹・中村和生(編)『概念分析の社会学――社会的経験と人間の科学』ナカニシヤ出版, 10-40.
- 浦野 茂・水川喜文・中村和生, 2013「社会生活技能訓練における発話の共同産出――広汎性発達障害児への療育場面のエスノメソドロジー」『三重県立看護大学紀要』第16巻(近刊).
広くは、フェミニズムの問題を研究したいと思っています。その中で、特に相互行為におけるジェンダーの問題に関心を持ちました。そこで、私たちが自明視している性別について、言語化することに長けているトランスジェンダーの人々にインタビューを行いながら、調査研究を行ってきました。最近では性を越境する行為が医学の対象であることから、性同一性障害医療の現場で、医療者に対するインタビューや、実際のカウンセリングの録音・録画を用いた調査研究も行っています。
- 鶴田幸恵 2010 「いかにして『性同一性障害としての生い立ち』を持つことになるのか――実際のカウンセリングの録音・録画における『自分史をやる』活動に焦点を当てて」宮内洋・好井裕明(編著)、『〈当事者〉をめぐる社会学――調査での出会いを通して』北大路書房 pp.21-40
- 鶴田幸恵 2010 「性同一性障害のカウンセリングの現実について――ここ十数年の調査から」好井裕明編、『明石書店叢書シリーズ 差別と排除の[いま]第6巻 セクシュアリティの多様性と排除』明石書店 pp. 125-160