タミソン13:吉田民人(2005)「存在論的構築と自己組織化」

この報告は、同じ年(2005年)の「大文字の第二次科学革命:情報論的転回」と内容が かなり被ってるかも。

  • 吉田民人(2005)「存在論的構築と自己組織化─<反法則科学>の視界─」
    第53回関東社会学会大会自由報告(2005.06.18) 配布論文 pp1-19
  • I 「法則的自己組織化」と「プログラム的自己組織化」:二つの自己組織性
  • II 認識論的構築主義から存在論構築主義
  • III 構築の時間軸と空間軸、そして空間軸としてのシステム構築と環境構築
  • IV プログラム集合の間主観化と共同主観化:「社会の構築」ないし「人間的秩序の構築」
  • V 汎法則主義的秩序観から進化主義的秩序観(秩序原理進化論)への転回

II 認識論的構築主義から存在論構築主義

初期構想と晩期構想の関係づけ

[初期構想]
  • 05】ところで他方、生物的システムおよび人間的システムの構築は、
    • 認知的構築・評価的構築・指令的構築という三つのモードをもっている。
    • 言語的構築や感覚運動的構築のみならず、遺伝的構築においてもこの三モードが観察される*。
  • だが、これまで constructivism や constructionism と称されてきた構築性は、主に認知的構築に限定され、それに評価的構築が認知的構築と不可分のものという了解のもとに加味されてきたといってよい。
[晩期構想]
  • だが、認知構築と評価構築は 最終的な構築である指令構築(人間層に特化していえば、いわば「実践的構築」)へといたる手段的・媒介的な構築現象であり、
  • 私は認知的構築と それに付加された評価的構築を併せて「認識論的構築主義」の視点と名づけ、
  • それを含んで広い 認知・評価・指令 の三モードを包括する構築性を「存在論構築主義」の視点と命名した**。
  • * 「情報科学の構想」吉田・加藤・竹内共著『社会的コミュニケーション』培風館、1967年、pp.39-44
  • ** 「新科学論と存在論構築主義─〈秩序原理の進化〉と〈生物的・人間的存在の内部モデル〉─」『社会学評論』55-3, 2004年
  • 認知・評価: 認識論的
  • 認知・評価・指令: 存在論

III 構築の時間軸と空間軸、そして空間軸としてのシステム構築と環境構築

吉田御大の魂の叫びを聞け。

  • 「原構築と代替構築」という存在論構築主義の一つの基本枠組みの提案は、もともと
    • 「原構築」にこだわるエスノメソドロジストと
    • 「代替構築」にこだわる理論的・数理的・計量的な社会学者とを連帯させるためのものであった。
  • しかし、もっとも厄介なのは、原構築と代替構築との異同や関連に無頓着な研究者の存在である。