スチュアート・ユーウェン(1996→2003)『PR!世論操作の社会史』

講義準備。

PR!―世論操作の社会史

PR!―世論操作の社会史

時期 媒体 人物 トピック
第1部 広告時代の脚本と真実
第1章 エドワード・バーネーズを訪ねて エドワード・バーネーズ 1920年代「自由の松明」
1929年「光の記念祭」
第2章 リアリティの売買──説得の方程式
第2部 「動き始めた群衆」:進歩派政治運動と広告の成立
第3章 真理は生成する──宣伝時代の開幕 1870-1914 新聞 ウィリアム・ジェームズ
エドワード・ベラミー
ヘンリー・ジョージ
ヘンリー・ロイド
ミドルクラスの凋落
マクレイカ
公衆
センセーショナリズム
第4章 混沌のコントロール 1914- 新聞と世論
公衆
ウォルター・リップマン
アイヴィー・リー
群衆心理学
ギュスターヴ・ル・ボン『群衆』(1895→1896英訳)
ガブリエル・タルド
フェルディナント・テンニースゲマインシャフトゲゼルシャフト
グラハム・ウォーラス
1906 炭鉱スト
1914 ラドロー事件
第5章 「民衆を教育せよ!」 1907- 新聞広告 AT&T セオドア・ヴェイル
広告ビューロー(ジェームズ・エルスワース)
企業内広告部門
第6章 真理の館 1918-1919 郵便、電信、新聞
映画
連邦広報委員会(CPI、ウィルソン大統領)
アーサー・ブラード『アメリカの動員』
第1次世界対戦参戦
「公式戦況ニュース」
W.D.グリフィス『国民の創生』(1915)
扇動防止法、スパイ活動防止法
ハロルド・ラズウェル(1927)『世界大戦におけるプロパガンダ技術』
第3部 説得レトリックの変遷
第7章 社会心理学と民衆心理の探求 1921- ロバート・パーク
第8章 姿なき技術者──観念の履歴書 ほか リップマン、バーネーズ
第9章 近代の民衆説得パイプライン 1930年代 ラジオ ラスウェル
サイコロジー
第10章 視覚的な錯覚 1930年代 写真 デュアメル
第4部 「アメリカ式生活」への闘い
第11章 銀の鎖と友好的な巨人たち
第12章 公益をめざして 1930年代 ルーズベルト
第13章 ニューディールと社会事業の広報 ラジオ
写真
ルーズベルト
第14章 金にものをいわせる──私企業側の広告
第5部 世界のコマーシャル化
第15章 公衆の究極決断 1940年代 エルモ・ローパー
スタンダード石油広報部
NAM
第二次大戦
第16章 世論操作の技術 1945-1955 映画
テレビ
ロナルド・レーガン バーネイズ『コンセンサスの形成技術』
冷戦
ルイジアナ物語
終結 現代の公衆にとっての問題──新世紀に向けた覚え書き

第6章 真理の館:米国広報委員会(CPI)

 1917年4月6日、米国が正式に宣戦を布告すると、プロパガンダがウィルソン大統領の最重要な懸案事項になった。4月12日、リップマンは大統領の指命にこたえてプロパガンダにかんする技能を持つ芸術家、知識人、ジャーナリスト、その他メディア専門家を全国から動員して創設する「政府活動にかんする情報交換機関」、すなわち戦時「広告。広報機関」の明細を提出した。ジャーナリズムのなかで培われた広告図式をこえて、リップマンの計画は「映画産業」を含む広範なコミュニケーション専門家を結集する必要を説いた。また彼は、この機関は単に情報宣伝をおこなうのみならず、アメリカの志気に悪影響をあたえる可能性がある「外国の新聞出版を監視し?? 『噂や虚偽』を摘発する」などの多様な機能をそなえるべきだと示唆した。
 [ウォルター・リップマンからの]この忠告をうけて、ウィルソン大統領は一九一七年四月一四日、「国内の防衛線を固める」ため、CPI (米国広報委員会)の設立を命じる大統領令第二五九四号を出した。政府内からは、国務長官、陸軍長官、海軍長官がCPIに参加した。またウィルソンは、消息通の進歩派ジャーナリスト、ジョージ・クリールを文民CPI議長に任命した。

第7章 社会心理学と民衆心理の探求

ロバート・エズラ・パークの博士論文: 『群衆と公衆』 Masse und Publikum

近代のジャーナリズムは、できごとを報告し論じることによって、世論を指導し方向づけることをもとめられているはずだが、たいていは、単に集団の注目を操作するための単純なメカニズムであることがわかる。このようにして形成された「意見」は、必然的に無分別な認識から引き出される判断と同様の外観を呈する。その意見なるものは、情報の伝達と同時に直接的かつ一斉に形成されるものである。