お買いもの:可想場めぐり(2021)『抵抗する使用:セルトーの散種』

卒業論文。500円

  • 可想場めぐり『抵抗する「使用」――セルトーの〈散種〉:ミシェル・ド・セルトー『日常生活の創発性』をめぐって』(2021年度卒業論文

「おまけ」として「バーチャル口頭試問」なるファイルも収録されていたのだが、教員たちが、見ただけで魂が汚れる感じのする いかにも人文くん的発言を連発していて悶死するかと思いました。

  • はじめに 2

第一部 『日常生活の創発性』という書物 5

  • 「使用あるいは消費」 7
  • 「軌跡」 9
  • 「戦術」と「戦略」 11
  • 「場所」と「空間」 14
  • 「物語」 16

第二部 抵抗する「使用」――セルトーの〈散種〉 19

  • 抵抗する「使用」. 19
  • デリダの散種 20
  • セルトーの散種 24
  • 第一部・第二部総括 30

第三部 無意識の足どり 35

  • セルトーとフーコー 「無意識」の審級をめぐって 35
  • ふたたび都市を歩く 40
  • 参考文献 45
https://cartaphilium.hatenadiary.com/entry/2022/03/08/223233

文献

KUNILABO講義:小田部胤久「美学とは何か」

https://202404aesthetics.peatix.com/view

講座概要

 美学とは一体いかなる学問なのでしょうか、あるいはいかなる学問でありうるのでしょうか。
 美学とは、ライプニッツの流れを汲む哲学者バウムガルテンが1735年に提唱した学問です。感性・美・芸術という三つの主題が一つに重なるところに美学は可能となりました。美学はその後も、基本的にこの三つの主題をめぐって展開しましたが、ただし、その際これら三つの主題は時に相互に重なり合い、時に反撥し合い、こうして美学は多様な仕方で規定されてきました。
 本講座では、美学はこの約3世紀の間いかに規定されてきたのかを辿った上で、美学の中心的課題である美と芸術について、特に西洋の美学史を踏まえつつ、主題的に考察します。
 その上で、最後に、今ここで、すなわち21世紀の初めの極東において美学を営むことの意味について、特にこの約100年にわたる日本の美学の展開を踏まえながら、考えてみましょう。

  • 日程  : 4月‐7月の第2火曜日(4/9、5/14、6/11、7/9)
  • 場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
  • 参加費 : 全4回 一般8,000円/学生4,000円

各回の予定

  • 第一回:美学はいかに規定されてきたのか?
  • 第二回:美とは何か?
  • 第三回:芸術とは何か?
  • 第四回:日本的美学は存在するのか?

講師

https://202404aesthetics.peatix.com/view

【告知】連載「読むためのトゥルーイズム」第四回が公刊されます

吉川浩満さんとの共著連載第四回が『文學界』2024年5月号(4月6日発売)に掲載されます。
今回は「目次を読む2/2」について書きました。前回と合わせて、目次から話題構造を推定し、図化するところまで進んでいます。メニューは下記のとおり:

  1. 質疑応答1──よくある質問と答え
  2. 準備作業の実際──「目次を読む」(準備作業B1つづき)
  3. 目次を読む3──話題の構造を推定する(準備作業B1c)
  4. 「実践の記述」への準備──要約的記述と手続的記述
  5. 演習
  • 目次:]

第四回解説動画

第四回解説動画では図化ツールをいくつか紹介しています。あわせてごらんください。また解説動画用共有フォルダ(Google Drive)には連載第三回演習の回答をアップロードしておきました。

哲学入門読書会第二シリーズ選書作業

哲学入門読書会で最初に選んだ六冊が 2024年秋には読み終わるため、第二シリーズの書籍選定をおこなわねばなりません。

次期選書の大まかな方針としては、

  • 極めてよく売れた・難しくない哲学の本で、かつ中高国語科教師の好きそうなもの:三冊
  • (できれば「読者」という歴史的存在者に関する歴史的反省を含む)読書論:三冊

というところまでは決まっています。

哲学書の候補

  1. 柄谷行人『哲学の起源』(岩波書店, 2020) ISBN:4006004133
  2. 浅田彰『構造と力』(勁草書房, 1983→中央公論新社 2023) ISBN:4122074487
  3. 永井均『翔太と猫のインサイトの夏休み:哲学的諸問題へのいざない』(ナカニシヤ出版, 1995→筑摩書房, 2007) ISBN:4480090924
  4. 永井均『倫理とはなにか:猫のアインジヒトの挑戦』(筑摩書房, 2003→2011) ISBN:4480093435
  5. 野矢茂樹『哲学の謎』(講談社 1996) ISBN:4061492861
  6. 内田樹『ためらいの倫理学:戦争・性・物語』(冬弓舎 2001→KADOKAWA, 2003) ISBN:4101035415
  7. 内田樹『寝ながら学べる構造主義』(文春新書, 2002) ISBN:4166602519
  8. 内田樹・難波江和英『現代思想のパフォーマンス』(光文社, 2004) ISBN:433403277X
  9. 東浩紀『訂正可能性の哲学』(ゲンロン, 2023) ISBN:4907188501
  10. 東浩紀『訂正する力』(朝日新聞出版, 2023) ISBN:4022952385
  11. 東浩紀『観光客の哲学』(ゲンロン, 2018→2023) ISBN:4907188498
  12. 國分功一郎『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社, 2011→太田出版, 2015→新潮社, 2021) ISBN:4101035415
  13. 國分功一郎『中動態の世界:意志と責任の考古学』(医学書院 2017) ISBN:4260031570

読書論の候補

  1. 1912 エミール・ファゲ『読書術』(松柏館書店, 1934、春秋社, 1940、中央公論新社, 2004) ISBN:4122043700
    Auguste Emile Faguet, L'art de lire.
  2. 1920 アラン『芸術論集(芸術の体系)』(岩波書店, 1941、光文社, 2008)ISBN:4334751474
    https://dl.ndl.go.jp/pid/2935196
    Alain, Le Système des beaux-arts.
  3. 1940 アドラー&ドーレン『本を読む本』(日本ブリタニカ, 1978、講談社, 1997) ISBN:4061592998
  4. 1950 桑原武夫『文学入門』(岩波書店ISBN:4004140013:
  5. 1957 リチャード・ホガート『読み書き能力の効用』(晶文社, 1999、筑摩書房 2023) ISBN:4480512179
  6. 1972 清水幾太郎『本はどう読むか』(講談社ISBN:4061156977
  7. 1991 イタロ・カルヴィーノ『なぜ古典を読むのか』(みすず書房, 1997、河出書房, 2012) ISBN:430946372X
  8. 2003 トーマス・C. フォスター『大学教授のように小説を読む方法』(白水社, 2010) ISBN:4560097305
  9. 2007 ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』(筑摩書房, 2008→2016) ISBN:4480097570
  10. 2009 中村雄祐『生きるための読み書き:発展途上国リテラシー問題』(みすず書房ISBN:4622074583
  11. 2012 橋本武『橋本式国語勉強法』(岩波書店ISBN:4005007260
  12. 2015 大出敦『クリティカルリーディング入門:人文系のための読書レッスン』(慶應義塾大学出版会) ISBN:4766422740
  13. 2016 楠見孝・道田泰司『批判的思考と市民リテラシー:教育、メディア、社会を変える21世紀型スキル』(誠信書房ISBN:441430007X
  14. 2016 ジェラルド・ドーソン『読む文化をハックする:読むことを嫌いにする国語の授業に意味があるのか?』(新評論, 2021) ISBN:4794811713
  15. 2017 野矢茂樹『大人のための国語ゼミ』(筑摩書房ISBN:4480816801
  16. 2018 メアリアン・ウルフ『デジタルで読む脳×紙の本で読む脳:「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』(インターシフト, 2020) ISBN:4772695672
  17. 2020 村上慎一『読解力を身につける』(岩波書店ISBN:400500914X
  18. 2020 高橋源一郎『「読む」ってどんなこと?』(NHK出版) ISBN:414407255X
  19. 2020 橋本陽介『「文」とは何か:楽しい日本語文法のはなし』(光文社) 4334044883
  20. 2021 千葉一幹『コンテクストの読み方:コロナ時代の人文学』(NTT出版ISBN:4757143575
  21. 2022 山口尚『難しい本を読むためには』(筑摩書房ISBN:4480684336
  22. 2022 マシュー・ルベリー『読めない人が「読む」世界:読むことの多様性』(原書房ISBN:4562074043
  23. 2024 阿部公彦『文章は「形」から読む:ことばの魔術と出会うために』(集英社ISBN:4087213056

参考

  1. 1972 ジュネット『物語のディスクール:方法論の試み』(水声社, 1985) ISBN:4891761504

【選定】清水幾太郎(1972)『本はどう読むか』

目次

 はしがき 003
1 私の読書経験から 007
2 教養のための読書 037
3 忘れない工夫 069
4 本とどうつきあうか
5 外国書に慣れる法
6 マスコミ時代の読書
 1 新しいマスメディアの出現
 2 マス・メディアの種類と性質
 3 文字の世界
 4 活字メディアと電波メディア

はしがき

 過去数十年間、私は、人間とつきあうよりも、書物とつきあって来たように思う。少しアブノーマルな生活であったかも知れない。しかし、その代り、書物とつきあう術は或る程度まで身についたような気がする。
 どういう本を選んだらよいか。どういう方法で読んだらよいか。読んで得た内容を忘れないためには、どうすればよいのか。蔵書の整理には、どういう方法があるか。外国書に慣れるには、どうしたらよいか。
 これらの点は、すべての読書子にとって重大な問題である。正直のところ、私自身、何回となく、これらの点で愚かな失敗を重ねて来たし、後悔の苦さも味わって来た。
 本書は、ー人の読書子としての私の経験を回顧しながら、ーつーつ、右の諸問題に答えようとしたものである。私が読者にお伝え出来るのは、所詮、私自身の流儀に過ぎないが、それでも、きっと、若干の点で読者に役立つであろうと思っている。

【選定】アドラー&ドーレン(1940)『本を読む本』

原題は How to Read a Book. そちらのほうがよくないですか。

  • 日本の読者の皆さんへ(アドラー
  • 第一部 読書の意味
    • 1 読書技術と積極性
    • 2 読書のレベル
    • 3 初級読書──読書の第一レベル
    • 4 点検読書──読書の第二レベル
    • 5 意欲的な読者になるには
  • 第二部 分析読書
    • 6 本を分類する
    • 7 本を透視する
    • 8 著者と折り合いをつける
    • 9 著者の伝えたいことは何か
    • 10 本を正しく批評する
    • 11 著者に賛成するか、反論するか
    • 12 読書の補助手段
  • 第三部 文学の読みかた
    • 12 小説、戯曲、詩の読みかた
  • 第四部 読書の最終目標
  • 日本人の読書:訳者あとがきにかえて(外山滋比古

【選定】橋本陽介(2020)『「文」とは何か─愉しい日本語文法のはなし』

目次

  • はじめに
  • 第一章 「文」とは何かという根源的な問い
  • 第二章 助詞と助動詞は秘密の塊
  • 第三章 「文」と西洋ロゴス
  • 第四章 「文」とは、必要なことが必要なだけ表されたものである
  • 第五章 自ら動くのか、他に働きかけるのか
  • 第六章 AIが人間に近づくのではなく、むしろ人間がAI?
  • 第七章 認知主体としての人間に商店を当てた考え方
  • 第八章 言語は試行を決定しないが表現と解釈を縛る
  • 第九章 複雑な「文」の作り方
  • 第十章 「文」の文法からこぼれ落ちた問題──語用論、テクスト
  • おわりに
  • 主要参考文献