ジェイムズ『宗教的経験の諸相』第四・五講「健全な心の宗教」

宗教的経験の諸相 上 (岩波文庫 青 640-2)

宗教的経験の諸相 上 (岩波文庫 青 640-2)


第四・五講「健全な心の宗教」は、邦訳では121-195(74頁)。原著では 78-126(48頁)。

  • [124] 本書の鍵語でもある〈一度生まれ/二度生まれ〉がフランシス・W・ニューマンの言葉として引用されている。
  • [130-136] 「一度生まれ」の典型例としてホイットマンの紹介。かなり長い。
  • [136] 本章タイトル「健全な心 healthy-mindedness」の導入。「万物を善であると見る」というのは「原罪を認めない」ということ。
    • [136]「万物を善であると見るこのような傾向を健全な心と名づけるとき、健全な心となる方法に、無意識的な方法と、意志的あるいは組織的な方法とを区別しなければならぬことがわかる。」
      If, then, we give the name of healthy-mindedness to the tendency which looks on all things and sees that they are good, we find that we must distinguish between a more involuntary and a more voluntary or systematic way of being healty-minded.
      https://archive.org/details/thevarieties00jameuoft/page/86/mode/2up
      • involuntary:事物について直接的に幸福を感じる仕方
      • systematic:事物を抽象的に善であると考える仕方
  • [144] 以上を前置きとして、ここからニューソートの紹介と検討が始まる。
    「私の考えるところでは、自然科学から出発して健全な心にいたる思潮よりもはるかに重要であり、宗教的にもいっそう興味のある思潮は、最近アメリカにひろがって、日ごとに勢力を加えつつあるように見える思潮であって…、私はこれを略称して「精神治療運動」と名づけようと思う。」
    • 「この思潮はいろいろの名を自称しているが、その一つを用いるとして、その「新思想(ニュー・ソート)」なるものには、さまざまな分派がある。しかし、どの派も根本的ないくつかの点で一致しているから、私は現在の目的のために差異点を無視してもさしつかえないであろう。そこで、私は、弁解はせずに、この運動をあたかも単一なものであるかのように取り扱うことにしたい。」
  • [146] 注。ニューソート登場の背景について。
    「精神治療とは、簡単に言えば、今世紀の初めごろのイギリスおよびアメリカにおける福音主義的教団に目だって見られたあの慢性的な不安 chronic anxiety を説く 一切の宗教に対する反対運動である、と言えるであろう。」
    https://archive.org/details/thevarieties00jameuoft/page/n115/mode/2up
  • [147] ニューソートに対する概括的評価。
    「とにかく、実際的成果をあげたお蔭でこの運動が普及したのだということは、あくまでも明白な事実であって、アメリカの国民が体系的な人生哲学に対してなした唯一のほんとうに独創的な貢献ともいうべきこの運動が、具体的な治療術とそのように密接に結びついているというこの事実にもまして、アメリカ国民の性格にある極端に実際的な傾向をみごとに示したものは、かつてなかったのである。」