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- この変化を論じるための出発点として、我々は「象徴的に一般化したコミュニケーション・メディア」の理論を選ぶ。
- 二項図式の三重機能:
- [a] 時間的:作動の累進化を可能にし、
- [b] 事物的:異質な諸状況を長い連鎖へと調整し、
- [c] 社会的:高度な要求を容易化する
- [c]
一般的な日常言語においてすでに、問題状況を一義的なYES/NO-選言を表現する要求があるが、これは分散的で状況的である。この場合は、YES/NO-選択肢の使用は相手方に対する厳しい要求、相手方が強いられた状況定義ではあるが、相手方は別の諸状況定義、別のレリヴァンスに立ち戻ることでそれから逃れることができる。それゆえに、高度に発展した社会では、二分法図式のさまざまな使用の正統化と結果は偶然や状況出来には委ねられない。こうして二者択一の要求を容易にするあれこれのものが制度化されねばならない(私の物をこれらの諸条件のもとであなたは持ちたいか持ちたくないか? という意味で)。- [b] その上、きわめて多種多様な状況と出来事を、誰にせよなんらかの選択をする度に(既に選択された)他の諸選択が自らのYESとNOとともに引き続き妥当するということを前提にできるような形で、どんどんと数珠つなぎになっていく事物連関へと結びつけるという要求が増大する。
- [a] 最後に、こういう仕方で、ある決定が他のもろもろの決定の上に組み立てられ、他のもろもろの決定との関係で、それに遡及しえ、それらをいつでも反復しえ、あれこれの帰結を見通しつつそれらを変更することができるという意味で、確定する、累進的な過程構造を形成することが可能になる。
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真理の論理化と権力の法化の範囲は一つの問題であるし、またそのようなものにとどまる。どちらの場合も、中世から近代の市民社会への移行は、あれこれの本質的な変化をもたらしたが、それらの変化は、学問と政治のためのそれぞれのシステムのヨリ高い程度の分出と関連し、神学の全体社会的レリヴァンスの第一次的には論理的に引き起こされた解体と関連し、また、市民的法治国家の構築とも関連している。
1-5 本章の論点
- 「所有」が経済的コミュニケーションの二項コードであることを法が考慮に入れるとき、「所有権」は社会に適合した法概念モデルになる。
──この章では、このテーゼにつき 三点に渡って論じる:- [A] 所有コードの機能
- 所有コードと法解釈学
- [B] 必要な抽象化遂行(〈占有/所有〉など)
- [C] 社会と組織の関係
- [A] 所有コードの機能